現れた男は告げた。

'お前の望みはなんだ’と。













それを行ったのは暇だったからだ。

もう一つ言い訳をすることを許されるならば暇過ぎたから、につきる。

世間はクリスマスやら来月は正月があるために忙しいらしい。

先生も走り回る師走、等と表現されいてるが私は生憎と物凄ーく暇、だった。

魔方陣をうっかり書いてしまうくらいには。

暇だったのだ。

クリスマスのイブイブ、つまり二十三日だったのだがその暇さ加減がとても嫌だったのだ。

本来なら予定があったのだからなおさらに。

だからこそこんな面倒くさい魔方陣とやらを描いてエロイッサムだかよく理解できない呪文を唱えたのである。

ついでに爪も伸びていたので丁度いいと切って枝毛も処理した。

季節外れの蚊がぶんぶん五月蝿かったのでぷちっとやっつけて出た血の多さに動揺してしまってそれらを乗っけていた広告を落としたのだ。

誰がこんな方法で成功すると思うだろう。

いや思うまい。

なんていったって適当過ぎた。

でも。

でも、だ。

どうやら私は成功してしまったらしい。

・・・悪魔の召還を。

偶然見つけた古本屋で手に取った一冊の本。

その挿絵に載っていた人だか獣だかわからない姿の悪魔が出てくるかと覚悟した。

だってこのいきなりなそれっぽいスモークは多分それだ。

階下の部屋が火事なんてそんな都合のいいのか悪いのか分からない出来事は認めない。

そして私がうっかり落としたのは伸びすぎた爪と枝毛100%の髪と血のみ。

ドライアイスなんて落としてないのだから。

だからこそ覚悟したのに現れたのは・・・某魔法学校で薬学を教えている教授だった。

な、なんで?











ここでぐるんぐるんに混戦した思考は整合を求めた。

それで浮かんだ思考。

いちー、実はこの魔方陣はびっくり手品用だった。

にー、スネイプは悪魔のような男だから間違えられた。

さんー、夢オチ。

よんー、ドッキリ百連発の撮影中。

希望としては三希望だ。

なんでここに来たのがこの男なのか。

嬉しいか否かと聞かれれば嬉しいと答えるがでもどうして何故と思わずにいられない。

なんでもう少し柔らかいタイプではなかったのか。

せめてせめてせめて。

そこで混乱を来たした思考は安直な答えを選択した。

「スネイプ先生って悪魔だったんだー」

口にしてみれば納得できそうだった。

むしろ此処は現実逃避して目を覚まして納豆食べたいと思う。

ライトノベル読破と魔方陣製作の暇つぶしでお腹減ったから。

「悪魔・・・ではないが」

悪魔否定した男は足元にある素人の描いた魔方陣に視線を向けた。

そして一つ呆れたような息を吐いた。

「お前の望みはなんだ」

やはり素敵ボイスだった。

しかも親切に日本語である。

最近の悪魔は本当に親切なのだなあと思いふと我に返る。

悪魔ではないといいはしなかっただろうか、この男。

けれど望みを聞いてきた。

なんでだ?

「望みというかまずは説明を」

してくれませんかねと頼む。

使う前に使用説明書に目を通すのは常識だ。

契約前には契約書を読みましょう。

なお契約に詳しい第三者を同席するとより良いと思われる。

そう頼んだら幾ばくかの沈黙の後、口を開いた。