これは呼び出した時の話である。
「気がついたら此処に来ていたんですか」
男の名前はセブルス・スネイプと言った。
やはり、という反応に訝しいという表情を見せていたが説明すると納得してくれたようだ。
ここは日本で私はあなた方、魔法族の言うマグル、です。
そして多分この世界に魔法はないと思われています。
私が知らないだけかもですがそれでも貴方は多分異世界から来たのだと思います、よ。
というとても納得できるようなものではなかったのだが流石というべきか頭が良いのだろう多重世界とかなんとか呟いて納得できたらしい。
頭いい人で良かったと思った。
説明が得意ではない自信がある故に。
で、悪魔ではないが望みを聞いたのは帰るために必要だと考えたらしい。
まあ王道だなと思ったのは内緒である。
しかしあの場であの台詞はスゴイ空気読んでたのねとスネイプ先生を褒めたい。
絶対スネイプ先生は空気読めないと信じていたのにびっくりだよ。
「ああ、だがお前の素人魔方陣で来たのだからあっさり帰れそうな気がする」
うん、なんてポジティブと思うのは私だけではないと思いたい。
けど確かに素人に呼ばれて飛び出てしまったスネイプ先生というのも笑える。
スネイプ先生にホグワーツにいなくて良かったんですか、とかクリスマスを過ごしたい人はいなかったんですかと聞けば別にという一言だった。
うん、先生も寂しいクリスマスだったんだねと納得すれば五月蝿いと怒られた。
そんな居候はででんと私のお気に入りソファーに座っている。
偉そう。
すげー偉そう。
「もうちょっと詰めて下さいよ」
そこは私の定位置ですと横に腰掛ければむっとしつつも少し退いてくれた。
彼の手には何故だか魔方陣の載っていた本。
似合いすぎて恐い。
もう既に三人くらい呪ってそうな貫禄さえある。
そしてそんな相手の横で暇だからレンタルしていたジャパニーズホラーを見てしまう私。
うう、なんて亜空間。
でも凄く心地良い。
「おい、離れたまえ」
「イヤデス」
恐さに泣きそうになってぎゅーっと抱きついていたら苦情が来た。
頭の上で溜息疲れても別に恐くは無い。
むしろ画面の中が恐すぎた。
「・・・我輩とて男なのだが」
恐い恐いとジャパニーズホラーに夢中だった私はそんな呟きを聞き逃していた。
出会って一日、というか二時間も経たず懐いてしまった私をスネイプ先生が物凄く微妙な顔で見ていた事が
面白かったなんて絶対言ってあげない事実である。