なんというか、ウザい。

その一言に尽きるかもしれない。

さっきからいい歳をした男がウロウロと自分の周りを回っているという異常事態にいい加減堪忍袋も限界である。

テレビが見えないじゃないですか!?

通算十二回目の台詞を言うか言わないかでその日の朝はぐったりつかれてしまったのだった。















時は二月。

奇しくもウン十年目のお誕生日会を先日行ったばかりである。

スネイプ先生、お誕生日おめでとうWW

そう書いてもらったのだがお店の人の微妙な作り笑いに絶望した!!

あれは絶対、『スネイプってハリポタのキャラだよねー?わざわざお祝いするんだぁー凄いね、ファンって』という顔だ。

いや間違いない!!

ここに居るんですよと見せたかったがそうも出来ずにワンホールケーキを持ってとぼとぼ帰ったのは苦い思い出だ。

それからお祝いで歳の数だけ律儀に蝋燭を立ててみれば、軽い小火くらいの炎が立ってしまって焦ったとか色々あった。

とりあえず行事はおしまい、と思っていたのだがそうも行かないのがお祭り大好き日本の季節イベントである。

バがついてンがついてデーがつく。

パチンコのバ○ボンデーでは決してない。

そう本日は桃色のハート飛び交うバレンタインデーであった。

懐かれたとでもいうのだろうか。

最初は余所余所しかったようでありつつノリの良さを見せていたスネイプ先生だが最近はやけに此方に干渉してくる。

あんたは私の父親か!?と言いたいくらいに化粧が濃いとかスカートが短いとか言ってくるのだ。

頭を撫でたりスキンシップも増えているような気がするがそれは外国人だからだろうか。

とりあえず彼曰くチョコレートを用意しろという事らしい。

数日前からそわそわしていたと不審に思っていたのだがやっと口を開けばそういうことだった。

ちょっとだけ可愛いとこの年上の教授に対して思ったのは内緒である。

気のせいに決まっていると自分に言い聞かせた。

しかしあまりに放置プレイも可哀想な気がしてしまって私の唯一作れるチョコレート料理のトリュフを作って上げれば喜ばれた。

うん、嬉しいかもしれない。

私自身、黒い悪魔に絆されている事に気付いたのは彼からの花束を渡されると同時に頬に口付けを落とされて嫌ではないと思った時だったりする。