「アラン!」
聞こえた声に驚いて振り向く。
其処にはロンドンにいるはずのの姿があった。
「私も入っていいの?」
「特別にね」
映画ハリーポッターの撮影中で忙しいはずなのににこりと笑うアラン。
「スネイプ先生がにっこり笑うって変な感じ〜」
「やっぱりそう思うでしょう?」
声をした方を見れば其処には魔法界の英雄ハリー役のダニエル・ラドクリフ君。
「リックマンさん、監督が呼んでましたよ」
「そうか。、知っているだろうけど彼が名俳優のダニエル・ラドクリフだよ」
そしてこの美しい人が私の恋人のだよ、ダニエル。
そう紹介されて恥ずかしくては真っ赤になった。
私はちょっと行ってくるから待っててくれるかな?
そう言い残して立ち去るアランの後ろを見送る二人。
「さんはリックマンさんの誕生日のお祝いに来たんですよね?」
「うん。あの様子じゃ覚えてなさそうね」
忙しそうに働いていたのだろう少し痩せたように見えた恋人を心配げに思うにダニエルはこっそり秘密を教えた。
「・・・・・・・・なんですよ」
「本当に?」
「はい。今日はスタッフと撮影にいる役者で少しパーティーするみたいだからその後に聞いてみたらいいですよ」
「そうさせて貰うわ」
ダニエルが思った以上に気さくに話してくれるのでスタッフが呼びにくるまで二人はずっと仲良く喋っていたのだった。
「Happy Birthday!」
パーン
クラッカーから出てきた紙を頭に乗せて苦笑するアランはとっくにスネイプ先生の役から抜け出していてもとのアランだった。
「凄いな・・・」
目の前に出されたケーキの蝋燭の火を一気に吹き消したアランは呟いた。
スタッフの一人が手配したという巨大なケーキにはスネイプ教授のイラスト入りだった。
「人数が多いから少しずつになっちゃうけど」
そういう声が聞こえたりして。
アランはスタッフからも人気があるみたいで沢山の人から声をかけられていた。
「そろそろ私は抜けてもいいかな?」
主役だからということで気を使っていたアランが一人に聞けば恋人がいるのじゃ仕方ないですよと笑って送り出してくれた。
アランの誕生日を祝いたいということ半分、撮影の息抜き半分といったところだったのだろう。
「アラン、帰っていいの?」
遠巻きに見ていたに近づけば首をかしげ尋ねてくる。
「ああ、私が泊まってるホテルに行こう」
撮影の間使っているというホテルに向けて歩き出す。
いつもなら疲れ果てて車で移動するのだが恋人と一緒なら散歩するのもいいかとおもったのだ。
「ねえアラン、お誕生日おめでとう」
歩いていたらそっと手を繋がれて囁かれた言葉。
「ありがとう。が今日ここに来るなんて思わなかったから・・・祝ってもらえて嬉しいよ」
本当に嬉しいと笑いかけると頬を染めては聞いた。
「アランの控え室に写真飾ってるって、本当?」
小さいけれど綺麗な声で問われたのは彼女に内緒にしていたことだった。
「・・・・ダニエルか」
仕方ないなあと苦笑が零れる。
「うん。でもどうして?」
「が笑っているのを見ると頑張れるんだ」
お守りだよ。
撮影や舞台の前には眺めるんだ。
そう言われてますますの頬は赤くなって俯いてしまった。
「怒ったかい?」
おそるおそる尋ねた言葉は本人の了承もなしに勝手な事をしたとアランが思ったのだろう。
「ううん。・・・・・嬉しい」
あのね、プレゼントがあるの。
そっと告げられた言葉に何かな?とアランは笑った。
ホテルの灯りが見えて話は一時中断になったのだけれど。
レストランでとあることを告げられてアランが最高の贈り物だと大喜びしたのはこの数十分後。