「んじゃ!とりあえず乾杯ね」
乾杯―
友人の隣でグラスに口をつけていればそっと耳元で囁かれる。
「今日は頑張るのよ、!」
何を?と問い返せば呆れたという声で返ってくる。
「彼氏を作るの!!」
その言葉に今更ながらこの会合は・・・と思いつく。
「これって合コン?」
「そうよ」
早く気付きなさいという友人を無視してメニューを見る。
「あ・・・牛タンがある」
友人はとにかく今日は行動すんのよーと燃えている。
ふぁいと生返事をしてたら合コンメンバーの会話は盛り上がっていた。
「君達全員スリザリン?」
スリザリンって美人多いよねーという男は魔法省に勤めているというレイブンクロー出身生でありホグワーツの先輩でもある。
「休みの日は何してるの?」
「やっぱりホグズミート?」
「あ、私は買い物ー」
「私もー」
そっちの君は?と聞かれてビールを飲んでる手を止めた。
「私はカメラ」
今、そーいうのはやってるしねとか風景を撮るんだねという言葉にウンと答えた。
「アイドルの水着撮影会とかかな。マグルの写真で取るとマグル社会でも売れるし」
沈黙が降りて隣の友人からこっそり怒られる。
「駄目じゃない!!マニアックさは最初は隠すのが常識でしょ!!!」
ちなみにそういう彼女の趣味は男の毛抜きであることを書いておく。
「別に趣味があるのはいい事だろう?」
隅に座っていた黒髪の・・・確かハッフルバフ卒業生とかいう男の一言で場の空気ががらりと変わった。
「ねえ。女の子は何か追加しない?」
もうお腹一杯、そんなに入らないという言葉にが待ったをかけた。
「あー・・豚足とタン塩・・・焼きナスとレバ刺しと・・・焼・・」
口を押さえつけられて睨まれた。
「ごめんなさい〜!!あたし達ちょっと出てくる」
友人に連れられてその場から拉致られた。
「アンタねえ!!いい男の前じゃあガツガツ食べないの!!酒はビールで酔っちゃった!!あくまで可愛い自分をアピール!!」
「・・・・駄目スか焼酎」
論外!!と切って捨てられ項垂れる。
今日は思いっきり食べて飲めると思ったのに。
「返事は!?」
「ふぁい」
「恋人はいないの?」
「いませんよ」
一番端に居たハッフルバフ出身だという男が聞いてきた。
いつの間にかそれぞれペアっぽくなってるのは気のせいでしょうか?
「何で今日はここに?」
そう言って隣の男を観察する。
髪は黒髪艶々、声は明るくて、顔は少しだけ酔ったのか赤かった。
「いや、数が足りないと言われたんだ」
頭数あわせですかと笑った。
自分が同じ立場だったから。
「何をしてるんですか?」
「魔法薬の研究」
もっとも苦手な科目を告げられてこの人ってあのヒトに似てるかもとそう思った。
口数の少なさとかわかりにくい優しさとか研究者特有の誇らしげな様子とかが。
そんなのこじつけだとわかってはいるのだけど。
「あ・・・訂正します」
「何?」
「恋人はいました。つい先日別れまして・・」
ガラリと仕切られていた襖が開かれた。
「!!!」
「「「「「「「「スネイプ先生!!!」」」」」」」」
え・・・・という沈黙が流れた。
「ほう・・・懐かしい顔が揃っているではないかディゴニーとハーラスか」
はいっ!と魔法省勤め元レイブンクロー生は起立した。
同じくレイブンクロー出身のクィディッチ選手という男もだ。
「最近はいい噂を聞かないが二人とも奥方は元気かね。確かディゴニーの方は二人めもそろそろだと聞いたが・・・」
嘘ーとか最低ーという声がぼそぼそと囁かれる中二人は慌てて
用事を思い出したから、払っとくから気にしないで楽しんでと言い残し帰っていった。
あれは逃げたと言った方が正しいのだろうが。
「で、もうすぐ結婚と聞いたがな・・・バルト家の末っ子まで来てるとは」
兄君は知っているのかねともう一人の男に聞く声はとても冷たい。
怒り全開といったところか。
「わ・・私も・・用事を思い出しましたッ」
おたおたと逃げる男をぽかんとした様子で見ている自分の生徒達に視線をやると呆れかえった口振りでこう告げた。
「スリザリン50点減点。直にホグワーツに帰り反省文を二巻き明日までに提出」
は・・・はい!と酔いも冷めた様子で答える友人を余所にスネイプはを見て思い出したかのように告げた。
「ああ、にこの場の状況は全て説明してもらう。他の者は帰りなさい」
失礼しますと一斉に立ち上がった友人達をが恨めしく思ったとしても仕方ない事ではないだろうか。
「教授、お久しぶりです」
「ああ、研究は進んでるかね」
まだあんな連中と付き合っていたのかと苦々しそうにいう彼にブレイドと呼ばれた彼が笑った。
「ええ、人付き合いが下手な僕でも誘ってくれるので」
来るまで相手がホグワーツの生徒だなんて知らなかったんですよと苦笑している様子にあることが思い出された。
「もしかして、あのブレイド博士!?」
魔法薬学が専門なのだが薬草学で新種をもう十種ちかく発見しているという見出しを思い出した。
「積もる話はまた今度でいいかな、ブレイド。我輩はこの・に話があるのでな」
「ええ。また今度伺わせていただきますよ」
ではと去っていく後姿にほうっと溜息をついた。
「写真より全然カッコいい〜〜」
「・・・・・それ以外にいう事はないのかね」
苦々しそうな表情に口を開く。
「私は御飯食べ来て飲みに来ただけですよ?別れた後すぐに付き合えるほど要領よくないんで・・」
と言えば
「馬鹿者」
と言われ。
「馬鹿ってなんですか!!!」
「別れるつもりもないがな!!別れた等勝手にほざかれて好きな女が合コンに行くと聞けば普通止めるだろうが!!!」
馬鹿者ともう一度いわれてどうせ食べ足りないのであろうと教授の部屋で御飯食べさせて貰って。
結局二巻きの代わりに・・・その・・・仲直りもかねて・・・。
結果的には絶対二巻きの方が楽だったと思うのだけど。
「、王様ゲームというのを知ってるかね?」
「///」
「これから二人でするとしようか。それともポッキーゲームの方がいいかね」
スネイプ先生に合コンの楽しみ方をじっくりたっぷり教授された。
数日後、地下室へ来たブレイド博士に
「手を出さなくってよかったよ」と笑われたし。
スネイプ教授が生徒と付き合っているという事がとある卒業生の間で嘘だろと囁かれつつ広まって言ったという。
同じく数日後の集まり。とある店で四人が話していた。
「何で教授が来るんだ?」
「カメラが趣味の子いたじゃない?」
「ああ」
「あの子が教授の恋人らしいよ?」
「「「・・・・・・」」」
次の瞬間その店から各方面へ向けてフクロウが飛び立ったのが目撃された。
あとがき:最初はとある漫画のシーンより。わかった方はこっそりメールを(笑)
単に教授の独占欲と保護者加減を書きたかっただけ。