二年目の始まり
それはきっと一年目とは違う始まり
そして同じ続いてる道の上
あと何日かでホグワーツだとようやく終わったレポート用紙をくるりと丸めた
パタパタパタバタン
窓から変な音がした。
見ればピクピクと瀕死のフクロウ発見。
「みっ・・・水っ!!」
慌ててフクロウをガッと掴むとバスルームに飛び込んだ。
バシャーン
手に持っていたフクロウをバスタブに投げ入れた。
「ピギィー!!」
あれ?
フクロウじゃない鳴き方したよ。
バスタブに手を差し入れたら
「・・・・・・・お湯だし」
ざばりと暴れるフクロウを救い出しシャワーの水をかけた。
動物虐待するつもりはなかったんだよとジト目で見ているように思われるフクロウを介抱した。
フクロウに水と餌をやってる間に窓辺に落ちてた手紙を拾う。
「血がついてるんだけど」
不吉だ。
カサリと封を開けると便箋ともう一通手紙が入ってた。
ピンクの便箋が嫌なんだけど。
某猫キャラクターが飛んでいる便箋はやけにファンシー。
最初の一文を読んで目眩がした。
「スネイプ先生〜!」
篭っているはずの部屋の扉を叩いた。
「これが父からの手紙です」
研究の途中だったせいかそれともの父親からの手紙が嫌だったのか(は後者だと思った)とても嫌な表情をした。
「なんで我輩まで・・・」
ブツブツいってる先生を余所に手紙を読み上げる。
『やあ、セブルス元気かい?
夏バテなんてして体力のなさをアピールなんてしてないだろうね?
体力は大事だよ。勿論テクニックも必要だが!!男は経験だよねえって浮気は駄目だぞ。
まあ君の場合は美女より薬草と逢引だろうから僕は安心できるんだけど。
相変わらず美白な君が想像できるよ。とプール位は行ったかい?行くならくれぐれもロリコン親父に間違われないように。
夏なら水着も腕も脚も見放題だからね。の写真を送ってくれると嬉しいな。
この手紙は出そうと思っていた時にホグワーツからの手紙が僕の所に来たんだ。
道に迷ってフクロウ君は胃潰瘍になったらしい。この手紙も同じフクロウ君に運ばせるけど血がついてても気にしないように。
後、ホグワーツからの手紙が僕の所まで来るなんて駄目じゃないか!!
僕が砂漠をラクダで散歩するのが嵌っていたから行き倒れのフクロウを拾えたけれど。
セブルスの家にはまだ表札を出してないんだろう?
ハートの中に二人の名前がいちゃいちゃしてるのなんてどうだい?
新婚さんいらっしゃーいな表札をお勧めしよう。君には甘さが足りないからね。
スィートトークの一つや二つできない男は奥さんに逃げられても文句は言えないからね。
ではまた手紙を書くよ。よい新学期を』
「何を考えているのだ、お前の父親は」
ぐったりと力の抜けたスネイプ先生にあははははーと乾いた笑いを漏らす。
「先生の友達でもあるんですけど・・・・」
軽く無視されたのは「我輩は友達などとは思ってない」という無言の主張であろうか。
二枚目の手紙を開くと言われた通りホグワーツからの手紙。
あて先がサハラ砂漠星の下になってる。なんて大雑把。
「あ、いきなりスネイプ教授宅になった」
届いた後なのにと苦笑しつつ開けた手紙を読む。
「先生、教科書大量購入しに行かなければいけないみたいです」
数えてみると八冊も。
一冊以外はロックハートという人物著。
なんだか小学校の図書館にある本の題名みたいだというのが感想。
八冊も終わらせられるのかなとも思うけど。
「ギルデロイ・ロックハートか」
忌々しそうに呟かれた言葉。
その理由がわかったのは翌日のことだった。
「先生ー!!これも持って行くんですか?」
詰める物を全部つめて忘れ物をないか確認してから階下へ降りると散乱した薬品の瓶。
「ああ、それはそっちの木箱に入れといてくれ」
扉の向こうから声がしてはーいと瓶を詰めていった。
黒焦げになったいもりだかやもりだかと目が合ったのも無視無視。
「詰めましたよ?」
研究室を覗けば大鍋に火がついててぶ厚い本に熱中しはじめているスネイプ先生。
「先生、明日行く準備が終わってませんよ!?」
「・・むう。ここがこうだったか」
聞く耳持たず。
仕方なく出されたものだけを詰めていく。
「本当に研究馬鹿なんだから」
「誰が馬鹿だと?」
こういう所だけは聞いているんだから困るんだよなあ。
「明日はもっと馬鹿に会えるぞ」
楽しみにいてろと言ってスネイプはばたんと本を閉じてトランクへと詰め込んだのだった。