十二月の第三週目。
「とうとう今夜か」
掲示板の前に貼られた羊皮紙を見てワクワクする。
夕食後足は地下室へ向かってた。
「先生、いますかー?」
ひょいと覗けばいつも通りのスネイプ先生が机に向かっていた。
「ノックをしろと何回言えばわかる」
呆れたような言葉に忘れてましたと言って中に入る。
「そのローブ着たままでするんですか?」
「そのつもりだが?」
それがなんだというような視線に一言。
「脱いでください」
「何を破廉恥なっ!」
「は?ローブを脱ぐ事の何処が破廉恥なんです?」
ゴホンと咳をしてそうだなとローブを脱いだスネイプ先生。
何を考えたんだろうか?
「私、先生のセコンドしてもいいですか?」
「ああ、かまわん」
「やったー!」
ローブを嬉しそうに抱きしめるにそっとスネイプは笑みを浮べた。
ロックハートの演説にスネイプ先生の機嫌がどんどん悪くなるのがわかった。
「自分の首を自分で絞めてるよ」
乾いた笑いしかでない。
ハリーなんてロックハートに好意なんて持ってないはずなのに先生の表情を見て青くなってるし。
今夜は眠らせない、そんな甘い台詞なしで眠れなくなりそう。悪夢で。
バサッ
「キャァアアア」
物好きな女の子達がロックハートが脱ぎ捨てたローブを受け取って喜んでる。
スネイプ先生がローブを脱ぎ捨てたら受け取る人間って何人いるかな?
グリフィンドールは避けそうだし。
ざざっと音を立てて半径三メートルは近寄れなさそう。
危険物処理班の出動が待たれそうだ。
「危険物発見しました!・・・とかかな?」
そんな危険物を持ったまま呟いているとロックハートとスネイプ先生は一礼して背中を向けた。
「一 ―――― 二 ―――― 三 ―――― 」
二人とも杖を振り上げたのは同時。
「エクスペリアームズ!武器よ去れ」
ヒューン、ドカッ
見事に武器解除の術で吹っ飛ばされたロックハートは壁に激突した。
「キャーvvスネイプ先生ーvv」
カッコいい〜vv
吹っ飛ばされたロックハートには申し訳ないが同情の欠片なんて少しでむしろすっきりして辺りを見ればスリザリン生大盛り上がり。
武器解除魔法だけなんて優しいなあ。
カエルにしちゃう魔法とかないんだろうか?
キラキラ輝く悪趣味なカエルなら気持ち悪くてキスする勇気ある乙女もいないだろうし。
って普通のカエルにだってキスしたくはないけれど。
ちらりとスネイプ先生と視線が合って手を振ればふいと視線を外された。
ふらふらと立ち上がったロックハートは適当な言い訳して生徒に実技を行なわせることにした。
「はクラップと組みなさい」
指定された相手はジャイアンその一。
「よろしく」
会釈し三つ数える。
「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」
ただの浮遊魔法なのに私がかけるとどうしてこうなるのだろうか?
天井にぷかぷか浮かんだジャイアン君を見ながら溜息をつく。
まあ弾けなかっただけましか。
人間スプラッタは遠慮したい。
辺りを見回すと結構な惨状。
ロックハートでさえ呆れ顔だ。
「マルフォイとポッターはどうかね?」
生徒で模範演技というかモデルとして指名された二人。
スネイプ先生はハリーを困らせようと耳打ちしてる。
ロックハートはハリーに杖の落とし方でも教えているのだろうか。
「一 ―――― 二 ―――― 三 ――――それ!」
ドラコが素早く杖を振った。
「サーペンソーテイア!蛇出でよ!」
長く黒い蛇が現れた。
ロックハートが蛇を消そうとしたが天井近くまで上がっただけだった。
「×××××。××!」
ハリーがよくわからないけれどシャーと蛇の声で何か話していた。
蛇はグリフィンドールの男の子を睨んでいたがその後大人しくなった。
しんと辺りは静かになった。
スネイプ先生が杖を振って蛇を消し去って決闘クラブはお開きとなった。
ハリーが蛇と話せるパーセルマウスだと知ったのは翌日の噂からだった。