相変わらず人が多い。

それがフルーパウダーを使ってダイアゴン横丁へ出た時の感想。

「グリンゴッツへまずは行くぞ」

「やった!またあのコースターに乗れるんですね!!」

そういえば苦々しげに眉が顰められた。

「全くあれだけはいただけん」

「えー面白いじゃないですか」

家族サービスになると思うんですけどねえと笑って言った。

だって遊園地行くよりスリリングだと思うし。














「これくらいで足りるだろう」

あっけに取られているの前で適当にコインを袋へ詰めている姿の無関心さに文句を言った。

「私の父親って何してるんですか」

去年来た時はこの四分の一くらいだったのに何で今は溢れ出しそうなほどの金貨の山!?

「なんでも石油王から油田の権利をもらったとか聞いたが?」

ほらと渡された袋がズシリと重くてあの父親は・・・と溜息をついた。

その後スネイプ先生の金庫へと寄った。

「先生の金庫の中見ても良いですか?」

「見ても面白くないと思うが?」

「まあまあ」

駄目と言われなかった事を良いことにひょいと覗いた。

「・・・・・ホグワーツの先生って儲かるんですねー」

父親の金庫と張る位の金貨の山に目が痛い。

「馬鹿をいうな。教師などが儲かるか!これは新薬の特許だ」

「特許!!」

頭の中では東京特許許可局という早口言葉が廻ってた。

「凄いですねー」

ほわーと変な擬音を出して感心する少女を急かしグリンゴッツを後にしたのだった。

「で、何故我輩の金庫などを見たがったのかね」

「いやあ、結婚相手の預金を知っとくのは常識らしいですから」

日本のテレビ番組で言ってたんですよといえばコースターに乗っていた一緒に乗っていた子鬼さんから祝福の言葉。

「ご結婚ですか、おめでたいですね!だけど良い心がけですよ。最近じゃ預金してなくて借金して結婚する方も多いそうで」

お祝いにサービスしましょうか、とガコンとトロッコのレバーを引いた。

「いらん!」

スネイプ先生の叫びも空しく長距離最速コースターと化したのだった。

















「全くお前といると何故こうなるんだ」

大体結婚などけの字もないだろうが!!

そう言われてそうですねと笑う。

「まあ名前だけの婚約なんですから結婚するかもだししないかもだし良いじゃないですか」

来年もあの子鬼さんだったら面白いんですけどねー。

そう言って駆け出した。

「なっ!どこへ行く」

「こっちに来てください」

指の先にはくねくねした路地。

「ここは・・・」

「さっき猫がいたんです」

可愛かったあと言って路地を行こうとすれば止められた。

「待て。ここから先はあまり勧められない」

「はあ?」

何?歓楽街とかですか?歌舞伎座とか夜の街新宿とか?

「この先は夜の闇横丁」

「ノクターン横丁?」

ラーメン横丁とか餃子スタジアムみたいなモノだろうか?

「そうだ。闇の魔法に関するもの。魔法界の闇に関する部分が其処にはある」

行くか?と尋ねられて躊躇した。

足を踏み入れて良い場所かどうかわからなかったから。

「帰って来れますよね?」

よもつひらさかみたいにくしゃみしたら帰れないって事ないよなと思って聞いた。

「ああ。踏み込んでしまわなければいい」

「じゃあ行きます」

出発!と言ってしっかりローブの裾を持つ。

「人の後ろで言っても仕方がないと思うが?」

「気分はおばけ屋敷なんですよ」

さあ先生、頑張ってくださいと言うの姿に本気で怖がっているのかいないのか。

「困ったやつだ」

浮かんだ笑みをが気付くことはなかった。
























買い物なら当店でと古ぼけた看板が外れかけてた。

「ここがノクターン横丁で一番大きくそして闇へ一番堕ちている店だ」

「へー」

小さな声で囁かれて感心する。

「先生は行った事ありますか?」

「ああ。あの店でしか手に入らないものがあったからな」

そう言って踵を返す。

慌てて追いかけようとしたら声をかけられた。

「お嬢さん、そう君だ」

振り返るとフードで顔を隠した男が立っていた。

「君に渡すようにと」

ばさりと渡されたのは赤い薔薇。

「         」

「なんて?」

聞き取れなかった言葉の羅列。

ふっと男の姿が消えた。

きょろきょろと辺りを見渡してもスネイプ先生がいない。

「置いてくなんて酷いっ!」

慌ててきた道を走って帰ったのだった。

「何処に行っていたのだ」

開口一番に言われてむっとする。

「先に行ったのスネイプ先生じゃないですかっ」

ノクターン横丁は勧められないとか言ってたくせにと文句を言っていれば手に持った物に視線が落とされた。

「それは?」

「ああ、さっき知らない男の人から貰ったんです。返そうにもいきなり消えちゃって」

眉を寄せたスネイプはその花束を奪った。

「知らない人間から物を貰うな」

特にあんな場所で貰ったものなど信用できんと近くのゴミ箱にばさりと捨てられた。

「綺麗だったのに」

仕方ないかと諦めた。

呪いの薔薇だったら怖いし。

「あとで花なら贈ってやる」

牡丹かベラドンナかコスモス辺りならいいぞと言われた。

「先生、それって全部薬草でしょ」

牡丹は皮がベラドンナとコスモスはたしか種か花を生成したら薬品が取れるはず。

ああ、なんか私先生の蔵書のおかげで詳しくなってる!!

「勿論だ。薬草園にないから購入するか迷っているんだが」

本気で購入予定だというスネイプ先生に先生らしくて笑いが漏れた。