ロックハートの授業は思った以上に最悪だった。
「私の好きな色はライラック色だということを殆ど誰も覚えていないようだね」
ぱんっと答案用紙を叩いて演説を始めた。
ちなみにが書いた答えの一部は以下である。
1 金歯色
2 ハリーよりも有名人になること
3 スネイプ先生に笑顔で接することができるとこ
・・・・・・
54 四月一日(エイプリルフール)。育毛剤。
やる気のなさが現れていると自分でも思った。
満足なほど。
グリフィンドールのハーマイオニー・グレンジャーは全てを答えて点を貰ってる。
・・・・・・凄いな。
ロックハートのファンなんだろうと恋する乙女の凄さに感心してた。
ピクシーが逃げ出した後要領よく廊下へ出たは運悪くロックハートに捕まっていた。
「ミス・!少し話でもしよう。いやいや遠慮しなくてもいいんだ。
私と話しても君は女の子達から少し羨ましがられるだけだよ」
「いえ。用事があるので」
失礼しますといい終わる前に遮られた。
「そんな、遠慮しなくていいんですよ。慎み深さは日本人の美徳ですがね」
無用な遠慮はいりませんよ。
にこりと笑った歯が光った。
「はあ」
溜息なのか返事かわからない呟きを了承と受け取ったロックハートはを引きずって自室へと向かったのだった。
「どうぞ。この私が淹れたお茶です。遠慮しなくていいんですよ」
宝くじが当たったより運がいいとかねvv
ウィンクをするロックハートを無視し差し出されたカップに頂きますと返事して口を付けた。
「まずっ!」
「ミス・?君はこのテストをどういう意味で書いたのかい?」
の言葉など気にも留めずにロックハートは一枚のプリントを差し出した。
さっきの授業のミニテストだった。
そんなこと言われても思いつきで書いたんだけど・・・・!!
「なんで私が育毛剤など必要とするのか不思議なのだが」
「だって先生はチャーミング・スマイル賞を取ったのでしょう?」
首を傾げて本屋ででかでかと書かれていたあおり文句を思い出して言った。
「そうだよ。まあ私以外には連続で取れる人間は少なくても一人か二人ではないかな?」
いやいやきっといるだろうけどねと笑うロックハートには言った。
「でも髪の毛が禿げていたらいくらチャーミングな笑顔でも受けは悪いでしょう?」
「・・・・・・確かに」
真剣に考え込んだロックハートににっこりと笑った。
「薄ら禿げよりスキンヘッドの笑顔の素敵な人がカッコいいですし髪の毛はないよりはあった方がカッコいいですよ」
だからこの答えはあってると思うんですけどね。
そう言って帰ろうと扉の前まで歩を進めた。
「ああ、ロックハート先生の髪質だと将来ちょっと大変かもですよ?」
頑張ってくださいね?
そういって扉を閉めた。
扉の向こうからは呻く様な声が聞こえていた。
は足取り軽く自室へと帰ったのだった。
週末、大広間でトーストにジャムを塗ってるとドラコが近づいてきた。
「何か良いことでもあったの?」
朝は不機嫌な事が多いドラコにしては珍しいと声を掛けた。
「今から練習なんだ」
手に持っている物を差し出した。
「父上が僕がシーカーになるって言ったら買って送ってくれたんだ」
「何これ?」
箒には詳しくないのよというにちょっと機嫌を悪くしたようだったが気を取り直して言った。
「ニンバス2001だ」
「ふうん」
気のない返事にドラコはに練習を見に来るように言ったのだった。
競技場はグリフィンドールが先約のようだった。
「僕が予約したんだぞ!」
「こっちにはスネイプ先生が特別にサインしてくれたメモがあるぞ」
キャプテン同士は口喧嘩している。
スネイプ先生ったらまた嫌がらせしてとは溜息を吐いた。
それともロックハートに対抗してサインしたんじゃないよねと嫌な想像をしてしまう。
「クリーンスイープ五号を慈善活動の競売にかければ博物館が買い入れるだろうよ」
ドラコの言葉にスリザリンのチームは爆笑している。
やめなよと言う前に声が遮った。
「少なくともグリフィンドールの選手は誰一人としてお金では選ばれてないわ」
ドラコの表情が歪んで吐き捨てるような言葉が出た。
「生まれそこないの『穢れた血』め」
・・・・・・・穢れた血?
静脈血?
が意味もわからず疑問に思っていたらロンの杖から光が放たれた。
杖の調子が悪かったらしく自分に当たったけれど。
彼らが出て行った後満足げなドラコに近寄った。
「グリフィンドールがいないと空気も違うな」
せいせいしたという様子に問いただす。
「穢れた血ってどう言う意味?」
「マグルの血が流れてる者のことだ。スリザリンにはそんな奴はいない」
「そう・・・・」
「どうした?」
俯いたの顔を覗き込むようにしたドラコに手を上げた。
パシリ
良い音がして彼の左頬は赤くなった。
「なっ・・・・!」
「ドラコがそんなに馬鹿とは思わなかったよ。流れる血なんか関係ない」
大事なのは自分で考えて行動することだよと言い残し競技場を後にした。
スリザリンがなんで他の寮を馬鹿にするのかわかった気がした。
単にそんな人たちが集まりやすい寮かと思ったのだけど。
スネイプ先生の監督する寮だし。
そしてそのまま足は自然と地下室へと向かっていた。
彼に聞きたかったから。
「スネイプ先生」
ノックもせずに中に入るといつもと変わらない不機嫌さのままスネイプは立っていた。
「ノックをしないか、ミス・」
咎める様な声につかつかとスネイプの傍へ寄る。
「先生はイジメをどう思います?」
「イジメ?」
なんだそれはという様なスネイプにとうとうとは語り出した。
「イジメは駄目です。流れる血が緑色だったら珍しいけどマグルの血がなんで穢れてるんです?
どちらかといえば魔法使いだけの血の方が淀みますしイジメは便所オニギリと相場が決まってます」
口を挟まなかった・・・挟めなかったスネイプの眉間の皺がいつもより深くなった。
当社比1.5倍。
「スリザリンはそんな馬鹿ばっかりの寮なら私は変わりたいです」
その言葉にスネイプは口を開いた。
「スリザリンは確かに純潔主義の傾向がある。だが全てがそうであるわけではないしそうなる必要もない」
どちらかといえば親の影響だろう。
重い溜息をついたスネイプを見て確かにドラコは父親の影響かもと思った。
「先生はなんでグリフィンドールを嫌うんです?」
今までの事も思って尋ねた。
純潔主義者ではないといったのに何故ここまで嫌うのだろう。
「グリフィンドールの奴らは虫が好かん」
勇気と無謀を同じだと考えている辺りがなというスネイプに大人気ないと溜息を吐く。
まあ相性はあるよね。
「とにかく私は純潔主義なんて馬鹿な事を自慢するのは嫌いです」
どんな親から生まれても愛されれば慕うし尊敬もする。
マグルと魔法界という壁はそんな大事なものをくだらない理由で傷つけるのか。
「穢れた血なんて酷いよ」
何より自分ではなく親を否定される事に、自分では覆せない事実を否定し貶める言葉に嫌悪した。
「お前が変えていけばいい」
頭にそっと置かれた手のひら。
ゆっくりと撫でられた温かさにこくりと頷く。
「先生も私と会って変わりましたか?」
「さてな」
質問ははぐらかされたけどその後出された紅茶の横に置かれたお菓子がスネイプへ齎し始めている変化を表していた。