期待が外れると衝撃が大きいよねって話である。
前もって知っていたお陰では特にダメージを受けはしなかったのだがグリフィンドール生には痛かったらしい。
まあなんといっても癒し系ルーピン教授と粘着系スネイプ教授では気合の必要も違うのだろう。
ご愁傷様と思いつつ明日の試合で頭がいっぱいだったような生徒の面々を前に毎回のことを思う。
「全く・・・クィディッチなんて何処がいいのかさっぱりわからないんだけど」
席に付いて呟く。
隣にはドラコが大仰に腕に包帯を巻き相変わらず傷が痛いとか言っている。
「本当なら僕がグリフィンドールを打ち負かしてポッターに敗北を突きつけてやるつもりだったんだけどな」
残念だと言う姿に本心は一割も含まれて居ないのは明白だ。
そんな中で授業が進んでいくのだが。
嗚呼、可哀想で見てられない。
どんどん点数は減点されている。
もう十分しか始まってないのに大量減点にも程があると心の中で先生にマイナス10と減点する。
「ルーピン先生は?」
「今日は具合が悪く、教えられないとのことだ」
ニヤリと笑うスネイプ先生の姿の楽しそうなこと!
歪んでるよーこの人ッ!と叫びたくなるのは私だけではないだろう。
食い下がるハリーに嬉々として減点をして質問に答えたハーマイオニーに黙れと言い放つ。
お前が聞いたんだろうがと言いたいのは私だけでは以下同文。
「人狼。394ページ」
言い放つ声に大量減点をする。
後で敵はとってあげるからと悔しげなグリフィンドール生に思いつつ教科書を眺め学んでいく。
もっと人当たりよく教えきらないのかな。
スネイプという男の教師としての能力を高く買うからこそ、は切実にそう思ったのであった。
ロナウド・ウィーズリーが髪の毛と同じくらい顔を怒りで赤く染め出て行ったのを見届けて教室に入った。
そこには使った映写機や窓を元に戻しているスネイプの姿があった。
「人狼の見分け方と殺し方。羊皮紙二巻きって何処の拷問ですか」
「声高に教師批判する気かね、ミス・」
むっとしたのかスネイプは教師の顔で答えた。
「ええ、ミスター・スネイプ。二巻き、これは構いませんよ。ただその学問レベルの範囲に達し得ていない未熟な生徒に勝手に知識を押し付け且つ、
私情を交えて女の子にあんな酷い言葉を言い放つなんて紳士の国の風上にも置けません」
負けずには今まで出したことの無いような冷たい声で反論した。
「私は貴方が教師としても人間としても素晴らしい人と知っています。それなのに何故きちんと教えないんですか」
グリフィンドールが嫌いだとしても限度があるでしょう。
そう続けたいのを堪えたに反論しようとしてスネイプは言葉を止めた。
目の前の少女の悲しげな表情が視界に入ったから。
「今日の先生は好きじゃないです」
減点100点です!
そんな言葉を残し去った少女の後姿に少々やりすぎたかと反省したスネイプがいたのだった。