スネイプ宅にルーピンが来て結局泊まることになった翌日。

三人でやって来たのはダイアゴン横丁。

やはりスネイプ先生の周りだけ人込みは避けて通るようだ。

便利といえば便利。

しかしとは思う。

現在自分のような見た目五歳児女児といい歳した大人二人が連れ立って歩くとどう見えるか。

「男夫婦」

ポツリと呟いた瞬間背筋に殺気が走る。

「・・・・・考えていた事を取り消すんだな」

「いやーそんな怖い顔してると泣いちゃいますよ」

普通の子供は、と笑う。

毒気を抜かれたようなスネイプ先生にふいに抱き上げられる。

「あっ・・・あのー」

「子供の脚では疲れるだろう」

気を使って貰えたのは物凄く嬉しいんですが。

「・・・・いや、人攫いにしか見えないですよ」

ピキっと青筋がヒクついたのをルーピンは笑いを堪えながら見ていたのだった。

その表情を見ながら何処かで見たような気がした。

初めて会った時も思った感覚。

「あ!スネイプ先生と間違えた人だ!!」

の声にルーピンはびっくりしたようだったがかつて出会っていたことを告げるとにっこり笑って言った。

「運命だね」

「・・・・馬鹿者が」

「うわー・・・やっぱりルーピン先生って結婚詐欺師に向いてますよ」

三者三様の言葉を紡ぎつつ意外と和気藹々?と買い物は進められたのだった。
























荷物の多さに辟易する。

自分の荷物は教科書数点のみだ。

「怪物的な怪物の本」は流石先生陣であっという間に大人しくして受け取った。

背表紙を撫でるなんて勇気のあることはきっとグリフィンドールでも難しいだろう。

服はこの縮み薬の効いてる格好では買えないからと今流行っているらしいフクロウ通信販売で買う事にした。

荷物の半分はスネイプ先生の薬の材料でもう半分はルーピン先生のチョコレイトだった。

糖尿病注意報を発令したいくらいの多さなんだけど。

「・・・・持ちきれんな」

ウンザリと言った表情を横にニコニコと笑うルーピン先生は対照的だ。

「そうだね、ナイトバスにでも乗ろうか」

ナイトバス!?

一瞬夜空に浮かぶ湯船が浮かぶ。

これが本当のジェットバスなんて下らないギャグはごめんだが。

「あれは好かん」

スネイプ先生に一蹴された。

「そう?乗り心地はあんまり良くないけど安いし杖腕を出せばすぐ来るじゃないか」

杖腕ってなんだっけと思っているとルーピンはすっと腕を出した。

「おいっ!」

スネイプ先生の止める声も間に合わず耳をつんざくようなバーンという音がした。

夜の騎士のバスと書かれたバスから降りてきたのは紫の制服の車掌だった。

「『ナイト・バス』がお迎えに来ました。私は車掌のスタン・シャンパイク、運転手はアーニー・プラング」

「スネイプ宅へ」

大量のチョコレイトを持って乗り込む男とぶつぶつと文句を言いつつ乗り込む男。

キョロキョロと車内を興味深そうに見回す幼児という組み合わせにスタンは少しだけ呆気に取られつつも出発の合図を出したのだった。

「け・・・結構な・・・乗り心地っ」

「・・・だから嫌だといったんだ」

「そう?僕はここのココア結構好きだよ」

飛び跳ねそうな身体を揺れる寝台の腕木を握り締めていたら抱き寄せられた。

「小さいと大変だね」

チョコレイトを渡される。

「あ・・・ありが・・とうござ・・いま・・」

すと言う前にバーンと大きな音がしてバスが止まった。

スネイプがどんな表情をしていたかも気付く時間もなかった。

「到着しました!アーニー、次はプリベット通りの二番地で迷子の魔法使いを乗せてその後はアバーガブニーだ」

スタンの言葉にもしかしてハリーかなと思ったのも束の間ナイト・バスは夜の闇に消えていった。