ディメンター騒ぎがあったものの組み分けはいつもの如く順調に行われた。
ドラコがチラチラとグリフィンドールを気にしている。
「ドラコ?何してるの?」
くすくすと隣で笑っているパンジーや女の子達に聞いてももったいぶって教えてくれなさそうだなと口の軽いお坊ちゃまに聞く。
「・・・・ポッターだよ」
「ハリーがどうかしたの?」
聞き返したに信じられないと言った表情を作ったパンジーを無視する。
可愛いけどなんでそうオーバーリアクション?
日本人としては突っ込みたくなる国際コミュニケーション。
ちなみにスネイプ先生にはもっと喜怒哀楽の喜とか哀とか楽とか出しましょうよと提案したい。
怒ってばかりだと血管切れますよ?とも。
余計なお世話だとますます怒られそうだが。
「さっき話したじゃないか!ディメンターを目の前にして気絶したんだぜ。今は保健室に言ってるってさ。
グリフィンドールが勇気の寮だなんてよく言ったもんだ」
くすくすと笑う女の子達と取り巻き。
憎いグリフィンドールの英雄の失態を喜ぶドラコ。
でも私からしてみれば・・・・。
「ドラコのいじめ方は狡猾には程遠いけどね」
ぽつりと聞こえないくらいの呟き。
日本のいじめは自慢じゃないが陰湿だ。
だって便所おにぎりだし。
握らされてる方もプチ嫌がらせ状態なのが少しイタイ。
「ほら、気絶の勇者様が保健室からお帰りだ」
目ざとく帰ってきたハリー達三人組を見つけたドラコ。
野鳥の会も真っ青な目の良さだ。
ドラコがハリーに夢中な時、校長が立ち上がった。
髭が蝋燭の光でキラキラ輝いている。
きっと髭倶楽部会員ナンバー取得してるなと思わずにいられない。
髭部だ髭部!!
青髭メ○もいるはずだしなとチャックつきの不思議生物を校長の周りで探してみるが見つかったのはハグリットのみ。
屋敷しもべ妖精すら見つけられない。
ハグリットの背中にチャックが付いていたら怖くてとてもじゃないが近寄れないだろうとか想像していたのだが。
その間にもダンブルドア校長はディメンターについての説明を済ませて新任の先生について紹介した。
「空席になっている『闇の魔術に対する防衛術』の担当をお引き受けくださった」
ルーピン先生だと紹介がされてパラパラとまばらな拍手が起こった。
ロックハートの時より女生徒は熱心じゃないなと苦笑する。
ふとスネイプ先生の方を見ればルーピン先生を睨んでる。
「スネイプ先生とルーピンっていう奴は同じ学年らしいぞ」
父上がおっしゃっていたんだと言うドラコの声にだから家まで来たのだろうかと思うがそれにしてはフレンドリーという感じは皆無。
どちらかと言えばスネイプ先生が一方的に嫌っている?
警戒しているという感じだ。
得意げなドラコにルーピン先生情報を一つ。
「あの先生、タッパーの使い方を知ってるの」
侮れないわと真面目に言えばドラコが怪訝そうな表情を見せた。
「なんだそれは?何かの呪いの名前なのか?」
マグル社会では物を加熱することができる箱のことよと説明する。
レンジで使っても環境汚染物質が出ないタイプが好まれている。
結婚式などの料理を持ち帰ったりすることもできる優れものだがドラコは理解不能だったらしく
マグルのものなんて興味ないぞと顔をなんでか赤くしている。
少女の言葉を理解できないのが悔しいからなんて少年の複雑な事情をが気づけるはずもなく。
「闇の魔術の防衛術教師の座が欲しいってわけじゃないと思うんだけどなー」
夏休みの期間をフル活用して実験している先生を見ているだけに魔法薬学教師を辞めたいと考えているわけではないはずだ絶対。
それともDADAの教授の方が何かお得なんだろうか。
「何かあるのかな」
兼任したいとか思っているわけでもなさそうなのだが。
その睨み付けている瞳には怒りというより憎しみのような何か暗い感情を持て余しているような気がして仕方ない。
ふいに向けられたスネイプ先生の視線にへらりと笑って見せれば脱力したような溜息を吐かれてしまったのだけど。
「そんな表情はして欲しくないしね」
呟いた言葉は誰にも、一番近くにいたドラコにさえも聞き咎められることなく
続くハグリットの魔法生物飼育学の新任に対する歓迎拍手によって消えたのだった。
三年生になると時間割の中に選択授業も入ってくる。
日本で言う所の書道・音楽・美術辺りだろうか。
流石に此処魔法界の学校ホグワーツはそんなものじゃなかった。
甘くないというか内容すら想像できないんですけど!?
「何これ?占い学にマグル学に・・・数占い学?」
占いってバイトで出来たのになーマグルは・・・そうぼんやりと昔見た求人情報誌を思い出しつつ選んだのが間違いだった。
「・・・・・ブッキングしてる」
そう、九時から始まるマグル学と占い学を同時に取得する羽目になったらしい。
「無理だ!」
どう考えても無理だ。
いや、ここにドラ○もんがいて生暖かい瞳で見てくれるならわからないが。
それか実は生き別れの双子が王女だったとか影分身の秘伝書を里から盗み出すとか細胞分裂してドッペルゲンガーを作るとか!?
古いものでは某ホラー小説辺りが良いかもしれない。
でもミトコンドリアってすぐには成長しないだろうし。
日本の伝統芸能のナントカ流家元のごとくヘリをチャ−タ−するわけにもいかない。
ニンニンと頬にナルトのマークを書いてみたって結果は同じだろう。
ああ、赤チャ○ャのあの子は好きだったなー・・・・。
はしをわたるなと書いてある橋を「じゃあ、真ん中を渡ればいい」と言って腐った橋の真ん中で川に落ちた人物がいたのもついでに思い出す。
「どうしよ・・・・」
どんとこいな教授も美人貧乳奇術師もこのことは解決不可能だろう。
成す術も思い浮かばず、仕方なく朝食の前に慌しく地下へと走ったのだった。
「先生ー!?・・・・ってお邪魔でした?」
バタンと扉を開ければこんな朝早いのにスネイプ先生とルーピン先生。
「入るときはノックをしろ。朝からどうした?」
「おはよう、」
「おはようございます」
開口一番お小言のスネイプ先生に相変わらずだなと思いつつ挨拶をした。
浮気現場を目撃ドキュンしちゃった気がするのはなんでだろう。
「あ、えっとこの時間割を見てください」
ずいと差し出した時間割にはある部分だけ二科目。
「・・・・間違えちゃったんだね」
「馬鹿者が」
飴と鞭ですか!?
「どうにかしてくださいよ!私の身体は一つなんで両方受けるのは無理ですって」
「・・・仕方ない。下らなさすぎる原因だがタイムターナーを借りてやる。また後日受け取りに来るんだな」
「それがいい。早く行かないと朝食を食べ損なうよ?」
タイムターナーって何?と思いつつも育ち盛りにご飯抜きはきつい。
「じゃあまた来ますから」
そう言って扉を閉めようとしたら後ろから声が掛かった。
「、私の部屋にもお茶しにおいで」
「おいっ!」
焦ったようなスネイプ先生の声を聞きながらちょっと位はいいかとはーいといい子の返事をして大広間へと戻ったのだった。