さっきまで交わした会話の意味ないじゃんと力一杯椅子に帽子を叩き付けた。
やってられないよって感じで。
フルフル震えてる帽子を残して歓声を上げてくれたテーブルへと向かう。
仕方ないと諦めながら。
私、諦め早いんです。
譲れない線は死守するけど。
断固たる決意ですよ、桜木君。
フォッフォッフォッ
「もスリザリンか」
聞き覚えのある声に見れば満足げなドラちゃま。
と、取り巻きジャイアンズ。
「成り行きで」
会話していたらざわざわと広間が騒ぎ出した。
「ハリー・ポッター!!!」
所々から嘘、あの子が!!とか
どこの寮だ?とか密やかな声が聞こえた。
「誰、あれ?魔法界のジャニーズ所属のアイドル君?」
その割には黒髪だ。
可愛いけど・・・ああ、癒し系ってやつか。
私的には銀髪美少年希望。
テーブルの向こうのお坊ちゃまドラコはイメージに近いけど。
こういうヤツは芸能界で潰されそうだ。
プライド高そうだし。
王子様いないのかな?
かぼちゃパンツと白タイツ希望。
ミッチーは王子様卒業しちゃったし。
そんなことをぼけーっと考えていたら帽子が叫んだ。
「グリフィンドール!!!」
ワアアアア
なんだかWカップで優勝した瞬間のサポーターみたいに一つのテーブルが湧き上がった。
ポッターを取ったとか叫んでるのもいるし。
なんだか株の先物買いみたいだとも思う。
「このコは将来有望だからな。・・・買いだッ」・・・・・みたいに。
「ねえ。あの男の子って何なの?」
私の一言にスリザリンの席はぴしりと固まった。
誰も答えてくれなくてドラコに視線を向けると呆れたような答えが返る。
「あいつは例のあの人を倒したといわれてる」
「例のあの人?誰よソレ」
その言葉にますます静かになったテーブルの静寂を破ったのは白い髭のお爺さんだった。
「サンタ?」
「そんな訳あるかっ!ダンブルドアは校長だ!!」
ドラコが突っ込んでくれたお蔭でその人がこの学校のトップだと知る。
いるのか知らない理事を除けばだけど。
わけのわからないスピーチの後料理が皿に溢れるように出現した。
「凄い!魔法みたい!!」
「だから、魔法だ!!」
ドラコは食欲がないみたいだった。
「男爵、その血は洗濯しても取れないんですか?」
部屋干しトップが私的にお勧めですが血が取れないなら漂白剤入りが良いのでは?
血をとる時には水でしないと固まっちゃいますよー。
血みどろ男爵だからわざと着けているのか不思議で聞いてたら無視されたし。
「そんな事聞くなよ。お前、よく食べられるな」
ぱくぱく食べてるポテトにケチャップをつけてドラコに廻した。
「これ美味しいよ。食べてみなって」
いやいいと遠慮するドラコにそう、と皿を戻して平らげた。
「男爵、ホーンテッ○・マンションとかでバイトした事ないですか?」
「だから聞くなって言ってるだろう」
結局男爵は結局黙ったままだった。
お友達に是非なりたかったのにな。
テレビとかに一緒に出たら一躍有名だし。
根性ありそうだから除霊もされなさそうだし。
お腹もこれ以上は止めておけという感じになったのでキョロキョロと辺りを見回す。
知り合いはスリザリンにはドラコ以外いないみたいだ。
ちらりと見えた赤毛にヤンボー・マーボー!!と視線を止めた。
「なんだ、違った」
彼らよりも落ち着きのありそうな眼鏡のお兄さんと新入生の男の子だった。
「ウィーズリー家だ」
「???」
「いや、あの赤毛でグリフィンドールといえばウィーズリーしかいないと父上から聞いている」
父上は物知り博士かよって突っ込みたかったのは内緒。
ジャイアンズからの仕返しが怖かったわけではけしてなく。
ハリー・ポッターとかいう男の子がじっと見ている視線の先に見知った人を見つけたから。
「・・・・・一目ぼれじゃないよね」
恋の花咲かせちゃっていたらと怖い考えにぶるりと震えた。
「ねえ、ドラコ。あの・・・黒い怪しい人・・スネイプ先生って一年生も教えるの?」
願わくば選択授業でパス出来たらなんて後ろナナメ向きの考えに陥る。
音楽とか美術とかみたいに。
書道選択すると荷物が重いけど楽なんだよなー。
もしあるならば体育希望だけど。
「何をいってる。先生はスリザリンの寮監だし魔法薬学は一年からの必修科目だぞ」
右から左へ流れていった情報にくらりと目眩を覚える。
なんでこの寮になったんだろう。
改めて帽子と父親を恨んだ。