木漏れ日の下で夢に堕ちた少女は深い穴に落ちていく

出会うはタキシードの兎に煙管を咥えた芋虫

ハンプティダンプティに帽子屋にハートのクイーン

チェシャ猫はアリスの肩先でニヤリと笑った












「・・・こんな場所にいたか」











スネイプが見つけたのは無用心にも森のはずれの木の下で眠る少女。

という名の少女は木漏れ日の中に居た。

くぅくぅと可愛らしい寝息が桃色の口唇から零れている。

読書の最中に寝入ったらしい。

少女の胸元に開かれたままの本を閉じて横に置く。

とさりと軽い音を立てて腕が落ちた。

起きるかと見ていたが少女は少しだけ眉間を寄せた後、また深い眠りに落ちたようだ。

視線を下に向けてスネイプは戸惑った。

今日の少女の格好は制服ではない。

春めいた柔らかい色のワンピースに身を包んでいる。

ハイウエストに切り替えのあるふんわりしたものである。

似合わないから戸惑ったわけでは決してない。

理由はひとつ。











「スカートで・・・無防備にも程があるぞ」













スカートの裾は少し捲りあがっていて太腿の辺りまであるソックスが足の形の良さをはっきりと表している。















「我輩以外であったならば減点では済まなかったな」













妬気に溢れた言葉は少女に届くことなく無垢なまま。

他の者に汚されることがないようにと汚す自らの矛盾さを自覚しつつ、思う。

肩に掛けてあったローブを外し眠る少女に掛けた。

起きる前にと腰を上げ華奢な身体をローブで包み抱き上げた。

生徒のいない週末の午後だからこそできることであるがローブから揺れる脚を見られるのも気に食わない。

スネイプは眠れる彼のアリスを彼の私室へと連れ込むために足早にその場を後にした。

目覚めたが見つけるものはチェシャ猫のように笑うスネイプであることは間違いないだろう。