信号無視は自慢じゃないけどよくしてた
二人乗りは当たり前
肩を通り過ぎる風が好きだった
道路交通法なんて知らなかったけど悪い事だって自覚はあった
でも今はいいんじゃないかと思ってる
法律なんていうものは社会の平均的見地から来ているのだと思う。
あとはその国特有の思想や宗教や犯罪やら道徳観念から。
江戸時代には生類哀れみの刑?だってあったわけだし。
でも一般人からしては納得できない事があるのも確か。
だって全てのパターンに当て嵌まる人間ばかりがいたら犯罪なんて起きないだろうし。
法律改正だって一・二回あれば充分。
清らか〜な世界が実現するはず!
社会的立場がしっかりしている人程、他人の目を気にして行動すべきだと思う。
そうでない人も日本にはいたけど。
私は勿論政治家とか教師とか公務員はきちんとするべきだなと思ってたんだけど。
今は彼がそうであることに少しだけ苛立ってる。
頼んでないのにセクハラする政治家とか生徒に猥褻行為する教師とかどうよ!!って思うけどさあ。
それも全員でなく一部だけど。
恋人の私が頼んでもこのヒトは触れてもくれないのだ。
「キスしてくださいよー」
ほらほら、とレポートの採点をしている隙をついて首に腕を廻して顔を寄せる。
自分からは背の差で出来ないから座ったときが狙い目。
先生、眉間の皺が海底二万マイルになってますよ?
「まだ仕事中だぞ」
突き放すような言葉にも怯まずに頬へ唇を寄せる。
触れる一瞬前に突き放される。
「やめろと言っている!邪魔だ」
でていけという拒否の言葉にどうしてと思う。
こんなに自分はこの陰険教師を好きなのに。
触れて欲しいと思うのに。
どうして触れてくれないのか。
「わかりました。・・・・邪魔してごめんなさい」
走り去る足音が消え、静寂に満ちた地下室の部屋では主の重い溜息が響いたのだった。
「ハーマイオニー・・・・っ」
「?何、あなた泣いてるの?」
ぎゅうっと抱きついてきたのいつもと違う様子に驚いてグリフィンドールの才媛は瞳を見張った。
「あのさあ・・・ハーマイオニーは好きなヒト・・いる?」
ぼっと顔の赤くなったハーマイオニーに好きな人がいるんだと意外に思う。
「い・・いないわ?」
「・・・うん。今は聞かない。でね、キスしたいって思ったことない?」
自分の言葉にぶんぶんと首振り人形と化した友人にそっかと溜息をつく。
自分はおかしいのだろうかという不安がじわじわと広がる。
「あのね・・キスして欲しいのにしてくれないの」
ぽつりとなんでかなあと涙声で呟いたに顔の火照りを無視してハーマイオニーは答えた。
「そう・・ね。私は一緒にいたいって思うかもしれないわね」
「うん。最初は一緒にいるだけで幸せだったけど」
「けど?」
「唇を見てね・・キスしたくなった」
すっごく幸せじゃないかと思ったのだと呟くの悲しげな顔にハーマイオニーは心を痛めた。
はとても人気者で相手は誰だって好んでキスしそうなものなのに。
「その人が誰か教えて貰っていい?」
「ごめん。言えない」
きっとその人が私との噂が広がったら嫌がるからとまたしても涙ぐむに慌ててハーマイオニーは提案した。
「ねえ、!私が手伝ってあげるわ」
そしてその翌日、休日のホグズミートで少女二人が買い物している姿が目撃されたのである。
休日の一日。
地下室でスネイプは何度も近づいてくる足音を探そうとしている自分に気がついた。
いつもなら休日は朝早くに来てソファーに座り過ごしているの姿がそこにはなく。
いつもならば終わっているはずのレポートの採点も思った以上に進んでいない事実に苛立ちながら明日は授業で会うと言い聞かせる。
いつのまにか用意するようになったティーセットを片付けようとした時に聞こえたのは。
「入りますよ?」
軽い足音は待ち望んだ少女のもの。
いつものように入ってきたにスネイプはそっけなく告げた。
「ノックをしろ・・・・・と・・・」
スネイプは全ての言葉を言えなかった。
の姿に目を奪われたのだ。
「似合います?」
照れながら問うの顔には薄化粧。
ホグズミートでの戦利品である。
唇がほんのりとピンクに染められていてスネイプを誘っていた。
「先生?」
何も言わないスネイプを不思議そうに覗き込んだの唇がスネイプのそれで塞がれる。
最初は驚いて瞳を開いたもゆっくりと瞼を閉じた。
「・・・・・・・・・・・っ」
どんどんどん
長い口付けに苦しくなってスネイプの肩を叩く。
「・・ぷはっ」
はあはあ
ようやく離された唇から必死で空気を吸い込む。
「先生っ」
何するんですかっ!そう告げるの唇は僅かにピンクがはみ出ていて艶めいていた。
「聞いて・・・っ・・」
言葉の途中でまたしても重ねられた唇。
唇から割って入ってきた舌に絡めとられる。
「・・・・・・・・・っ・・・ふっ・・・・」
スネイプがを離したのはの膝が崩れ落ちた後のことである。
「いきなりなんなんですか」
「お前が悪いんだぞ」
驚きを隠せないに不機嫌にスネイプは答えた。
「我輩を誘惑するからだ」
まだ膝が立たない少女を抱き寄せる。
「我輩も犯罪者になってしまったではないか」
生徒に手を出すつもりなどなかったのだがなというスネイプの言葉に
「私以外に手を出すのは犯罪ですけど」
幸せそうに笑うがいた。
ちなみにスネイプが今までにキスしなかったのは一度したら止められない自覚があったらしいというのは大事な少女にも内緒である。