ドリーム小説





「礼ちゃん  おっきくなったらをおよめさんにしてね」




  「いいよ。を僕のおよめさんにしてあげる」









   あの日の約束









  眠りから覚めた探偵の榎木津は自らの寝台に寝転んだまま半眼で天井を睨みつけた。



  いつも目覚めは良くない。


  
  眠りにつくのは容易いが起きるのは酷く面倒だ。



  その上、今日は昔の夢を見た。


  
  榎木津が10歳、が5歳の時にした約束の夢。
  
  
  たしかあの後もう一つ約束をした――――― 







 
  ― バタン ―


  大きく音を立ててドアを開く。



  「うわっ。先生、起きていたんで?」


 
  驚いてこっちを見るのは和寅。・・・・・そして、が 居た。



  「おはよう、礼ちゃん」


 
  「ッ 来てたのか」




  今日も今日で奇抜としかいいようのないボーイの格好の探偵。


 
  榎木津は嬉しそうに叫んだ。



  「礼ちゃんが起きるの待ってたの」



  はい、といって差し出されたのは手紙。



  「なんだ?これは?」



  いぶかしそうな榎木津は次の瞬間手紙を掲げた。


  


  「これはッ から僕への恋文だなッ」




  
  から恋文だァ、と至極嬉しそうに表裏と眺めている。



  
  「いや、父様から渡してくれって」



  「男爵からですか」



  違うのかとぶつぶつ文句を言いながらもびりびりと手紙を開ける。



  中に目を通した榎木津は――――



  「うははははは」



  盛大に笑い出した。



  「何? そんなに面白い事でも書いてたの?」


  
  「何が書いてたんですかい?」



  不思議そうな二人をよそに手紙を投げ捨てた。


  
  「ッ! 遊びに行くぞッ」



  「えぇ!」



  出て行った二人を見送った後、



  「全くうちの先生は・・・」


  
  と和寅が手紙を読んでいたのは言うまでもない。


  
   




        







 

        20年前の約束どおり を貰ってもらうぞ      













    




   「いいよ。を僕のおよめさんにしてあげる」




   「ほんと?」


 
   「でも、はずっと僕のものになるんだよ」



   「うん。 、礼ちゃんのものになる」









あとがき
幼馴染はいいです。