歌を歌って

そう言って瞳を閉じた少女

そっと唇から零れたのは彼女と自分の熱い吐息

「これだけじゃ足りないな」

あとで払って貰うぞとそっと髪をかきあげて頬に手のひらを滑らせた










体調の悪さを訴えた恋人に腹でも出して寝たのかねと言って部屋に帰れと告げたのは顔色の悪さから。

目の前にどす黒い液体の入った壜を置いてやると非常に嫌そうな表情だ。

「これは・・・」

「嫌です!」

我輩が作った風邪薬だと言って飲ませようとする前に先手を打たれてしまった。

「具合が悪いのであろう」

「ここで休めば大丈夫ですよ」

ソファーで横になろうとしたは何かを思いついたらしくスネイプを呼んだ。

「先生、ここ来て」

ぽんぽんとの座っている隣を示され仕方なく腰を下ろす。

「何を考えてる」

「これですvv」

ころんと横になったの頭の下にはスネイプの太腿。

「先生の膝枕ー」

にこにこと見上げてくるの無邪気さに何を考えているのだかと溜息を吐いた。

「我輩の膝枕などいいものではあるまい」

立ち上がろうとしたスネイプの腰にしっかりとしがみつく少女の腕。

「我輩にはやらねばならぬ研究が・・」

「私よりも大事・・・・ですよね」

馬鹿なことを言ったという表情で腕を外す。

スネイプはその表情につい腕を引きとめた。

「馬鹿なことを・・」

「ごめんなさい」

しょぼりと項垂れた少女は帰って寝ますと立ち上がろうと身体を起こした。

どさり

の身体はソファーの上へと戻された。

「お前は何か勘違いしてるだろう」

かかってる髪を顔から払い至近距離でその瞳を見つめた。

「馬鹿なことと言ったのはお前と研究を比べるまでもないからだ」

瞳に失意が走る。

「我輩はを比べる物がないほど大事に思っているのだが」

その言葉に瞳が輝いた。

「まあたまに研究を優先させて貰うが」

の唇から溜息が吐かれる。

その意味は照れ隠しと諦めの。

「ね、先生歌って?」

「歌?」

うん、と頷いた少女はゆっくりと瞳を閉じた。

「眠るまで歌ってください」

そう告げた唇にそっと自らのを重ねる。

「これだけじゃ足りないな」

後で払ってもらうぞと言ってローブを脱いで少女に掛けた。

「・・・・先生の匂いがする」

幸せそうに笑う少女のためにそっと口ずさむ。

昔覚えた恋の歌を。

静かな寝息が聞こえ始めて足にかかる重さが増した頃。

スネイプはそっと抱き上げ少女を自分の寝台へと運んだのだった。