学校なんて大嫌いだった
いつだって休みたくて理由考えてた
そんな私が今こうして教師となるべくホグワーツから旅立とうとしてる
きっとこれは彼の影響
「来月からですよ。日本の大学に今更行く羽目になるとは思いませんでした」
座りなれたソファーに腰を下ろし日時が書かれた書類の文を視線で追う。
入学式が日本は四月だから半年余り待つか迷ったのだが途中編入することにした。
入るのが難しいといわれる日本の大学に途中入学出来たのは単に成績のおかげ。
「マグルの大学かあ。久しぶりだ・・」
「中学校はマグルだったのであろう」
部屋の主は呆れたように声をかける。
は稀な存在で魔法の発現が遅く途中入学という形でホグワーツに来た唯一の日本人だからだ。
「いや、日本に帰るのが、ですよ。ここ2年ほどは帰ってなかったからなー」
日本では魔法界も閉鎖的で例外である自分の存在はあっさりと無視された。
入れてくれたのはホグワーツだけ。
中学2年も終わりのことで英語の国に行くの!?とびびったのが嘘みたいだ。
「こんな変わった恋人ができるとも思わなかったし」
呟いてちらりとその横顔を見つめる。
理想はさわやかコカコーラのCMのような英国人のはずだったんだけど。
「我輩とて思ってもみなかったが」
苦々しく言いつつもその表情は柔らかい。
そっと近寄れば腕に身体を引き寄せられてそっと口付けを受け取る。
「先生と生徒の禁断の恋も終わりですね」
「禁断の割りにロンドンによく出かけた気がするがな」
つっこみにもゴホンと咳払いで誤魔化す。
「あーそれはマグルの街だったからいいじゃないですか」
あわてて言えば
「まあ・・・嫌ではなかった」
思ってもみない言葉。
そんな不器用な言葉にじんわりと心が温くなる。
「マグル学って別にわざわざ学びに行くもんなんですかねー」
照れ隠しに何度も繰り返した問いを紡ぐ。
だって受けたマグル学って全部一般知識みたいなモノだったし。
「まあ一通り勉強すれば何か役に立つという辺りだろうな」
返ってくる言葉はいつもと同じで。
「最後なんですから我輩は四年待つとかなんとか言ってくださいよ」
ついつい甘えてしまうのはこの男性が言葉に思いを変換するのが下手だから。
ふんと鼻で笑われた。
「お前は我輩が会いに行っても四年間も会わないつもりかね」
そんな事はさせんがなとにやりと笑う姿はかつてハリーを震撼させた笑みより怪しい。
「あ・・・会いに来てくれるんですかっ!!」
ひらりと目の前に差し出された書類。
「もう校長には許可を取ってある」
一枚の紙の上には姿現しの誓約書。
「手回しいいですね」
いつになく周到な恋人に呆気に取られる。
会えなくて寂しいとか思ってた私の立場は!?
てかもっと早くに言えって!!!
「いっその事結婚するか?」
目の前の人が本当にあのスネイプ教授であるのか自信がなくなってしまった。
だって指輪ちゃっかり人の指に嵌めてるし。
・・・・・サイズ合うし。
悔しい。
「知ってます?女の人の靴のサイズと指のサイズ知ってる人って信用できないいい男、なんですよ?」
憎まれ口を叩く恋人の左手をとり跪く。
「!!!」
「我輩は誰よりもお前を愛す自信がある。結婚してくれ」
じっと見つめられてその口から出た言葉に呆然とする。
「せめてYESかNOかは言ってくれないかね」
唇を左手に当てられて心臓がバクバクと音を立てる。
「っ・・・・・YES以外ないこと、知ってるくせにっ」
ぷいと顔を背ければ
「これで我輩のものだ」
嵌めた薬指に愛しそうにキスを落とし立ち上がる。
「結婚の日取りを決めに明日ご両親の所へ行こう」
「明日!!!?」
「本来ならば四年待たねばならんのだろうが我輩はそんなに待つ程気長ではないのでな」
今夜は泊まっていきたまえ。
そう囁かれてはYES以外言いようがなく。
翌日、日本へスネイプを連れて実家に向かうの姿があったことはダンブルドアしかしらない秘密事項。
あとがき: スネイプ先生は「校長、四年後以降は我輩にマグル学について教師の当てがありますので」とか言ってそうです。