「グウェンダルっ!?」
アニシナがバンっと扉を開けた先には誰も居なかった
「・・・此処までくれば」
自室から逃げだしたグウェンダルは懐からそっとある物体を取り出した
暖かくてちょっとぐんなりとした身体
グウェンダルの手のひらにすっぽりと収まる小ささについ瞳を細めた
いとおしくて仕方ないという風に
「・・・」
小さい子猫は呟かれた言葉にメエメエと小さく答えた
「よしよし、いい子だ。今から私がちゃんと世話をしてやろう。まずはベッドがいいか?ふふ・・・いけない子猫ちゃんめ」
その頃、部屋の外ではヴォルテール城の探検をしていた何でも屋になりつつあるお庭番ヨザックと
双黒の魔王陛下がイケナイ想像をしてしまい慌てて閣下の情事が行われていると思われる部屋から立ち去ったのだった。
そして一時間後なんでかヤギ乳の匂いがするグウェンダルにユーリから話を聞いたが怒りとともに婚約破棄を申し出るのはもう少し先の話。
「だからあれは子猫ちゃんにヤギ乳を・・・」
「グウェンダルの浮気者っ!?何が子猫ちゃんよっ!!どうせ男か女か知らないけど乳繰り合ってたんでしょー!?」
閣下の無実が証明されるのはヨザックにかかっている・・・かもしれない。
「あ、アニシナちゃーんvvお元気っすかー!?」
まったく持って前途多難。