戦争は国を民を、人の心をすり減らした。
愚策を振るう者達は何故後ろを省みないのだろうか。
死んでいく兵士達。
嘆く母親。
飢える幼子。
確かに魔族が人間に負けるのは誇りが許さないのも理解できるがその誇りと引き換えにするにはあまりにも犠牲が多かった。
もっと自分に力がと何度思ったかも知れない。
手のひらから零れ落ちた幾多の命を思うと後悔ばかりが津波のように押し寄せる。
「グウェン・・・お腹いたいの?」
小さな手のひらがそっと膝に乗せられた。
気づけば気遣うような眼差しは酷く揺れていて心配をさせてしまったのだと知る。
「いや・・・大丈夫だ」
そっと感謝の気持ちを込めて頭を撫でてやればますます瞳が潤んでぎょっとする。
何か怖がらせるようなことでもしてしまったのかと。
「無理しちゃだめ。痛い時はね、お休みするの」
グウェンが倒れたらまでお腹も頭も心配で悲しくて痛くなると言われてしまえば顔が緩むのを止められない。
そんな間抜けな格好は見せられないと頑張ってみるがきっと無駄な努力だろう。
「・・・許して貰えないことをした」
何故だかそばにある温もりに後悔を吐露していた。
「グウェン悪いことしたの?」
その眼差しが曇ることになっても自分は彼女に嘘はつけない。
「ああ、とても悪いことを」
嫌われると思って覚悟を決めて見やればぎゅうと強く握られた手。
「じゃあね、も一緒に謝ってあげる」
それならきっと許してくれるよ、だってグウェン頑張ってるもん!
にこりと笑った少女が眩しくて。
許されるものだろうかと思いながらも彼女の言うことをすんなりと受け入れる自分に気づく。
それは君というヒカリ。