ひらりと扉の隙間から入ってきた手紙を手に取ると眉を寄せて呟いた。
「くだらん」
差出人を確認したにも関わらず封は開けられることなく入ってきたときのようにひらりと手紙は落ちた。
いや、大鍋をかけている炎を目掛けて落とされた。
『セブルスったら酷いじゃない!!』
「・・・・!」
炎に舐められた手紙は古色あふれる風情だったのが一変して赤い。
吼えメールのようだがと声の主であり手紙の送り主。
『全くこれを聞いてるって事は、私からの手紙を燃やしたか破ったかしたってことよ!
大体研究馬鹿なセブルスのことだから大鍋の炎にでも落としたんでしょう!!
「うっかり落としてしまってな。我輩が読む暇もなく燃え尽きたのだ」
とか言うつもりだったんでしょうけどお生憎様。これからこの手紙は召喚メールになるからvv
回避呪文も無効だから精々悪あがきしてね』
心の底から楽しそうにしている少女の笑い声とともに手紙が赤い文字を吐き出す。
「我輩の研究がっ・・・・!」
ふっと消えた主人の居ない家で大鍋だけがグツグツと煮え立っていた。
「いらっしゃい、セブルスvv」
にこりと笑う姿は一月前にホグワーツで別れた時と変わってない。
「何のつもりだ」
ふつふつと湧き上がるのは怒り。
まだ新薬の研究の途中だったし新しく絶版本が明後日には手に入るはずだったのに。
夏休みを最大限に趣味に費やす気だったのをいきなり邪魔され怒るのも仕方がないだろう。
「セブルスとお祭りに行くの」
これ着てね。
差し出されたのは着物。
「我輩をすぐに戻せ」
無視して答える。
もうそんな泣きそうな表情しても騙されない。
今まで騙されて付き合わされた数々の出来事を走馬灯のように思い出す。
ショッピングにテーマパークに映画館。
本屋と薬草園とマッドサイエンティストの復讐は楽しかったが・・・。
「い・や・だ!一緒に行ってくれないと夏休み中私と一緒に暮らして貰うよ?」
杖もってこなかったみたいねーと笑うの姿になんでこいつはグリフィンドールなのかと思う。
スリザリン生の間違いじゃないだろうかと何度思ったことか。
「ルーピンやブラックと行けばいいだろう」
ぽつりと言えば変な表情をされた。
「なんで?」
「ルーピンとブラックはお前が好きなんだろ」
「はあ!?リーマスはチョコ命だしシリウスは今はレイブンクローのブロンドさんが本命じゃないの?」
こいつ、まだ気がついていなかったのかとずきずきと痛み出した頭を軽く振る。
「ルーピンがチョコを分けるのはお前だけだしブラックはお前だけには約束を守るだろう」
そーいえばそーかなあとか言っている少女の姿に鈍すぎるとつくづく思った。
「まあいいじゃない!私はセブルスが好きなんだから」
関係ないよと言われて思考が凍結する。
「・・・・・誰が?」
「私が」
「・・・・・誰を?」
「セブルスを」
「・・・・・なんだと?!」
「だからー私が好きなのはセブルスなんだってー」
言ってなかったっけ?
わかってると思っていたんだけどなあと呟くに手を伸ばした。
「貸せ」
「何を?」
「それを着ればいいんだな」
「着てくれるの!?」
ぱあと一気に花開いたかの様な笑顔を向けられ顔をそらしてこくりと頷く。
きっと顔が赤いことだろう。
リンゴ飴とか言う食べ物を食べながら隣を歩くに少しだけ照れる。
髪を結い上げた浴衣姿がいつもより綺麗に見えて。
「セブルス。手、繋いでいい?」
その言葉に手を握るとふふと笑う少女。
「なんだ?」
「だってセブルスが優しくって嬉しいんだもん」
えへへと照れながら笑う姿にそんなものかと答える。
今までだって特別扱いしていたつもりだったのだが伝わってなかったらしい。
いくら泣き落としをされても気になる少女以外の涙に気を使うほど自分は優しい人間ではない。
「セブルス浴衣似合うねvv」
足元が下駄という履物でやや覚束なかったがすぐになれて今ではふらふらと屋台に寄りそうになるをつれて歩いてる。
「も似合ってて・・・綺麗だ」
恥ずかしさから歩調が早くなったがすぐに止まる羽目になった。
手が引っ張られて。
「なんだ?・・・・ってなんて顔してるんだ」
驚いたといっている表情で足を止めたに笑いが漏れる。
「だって・・・だってセブルスが褒めてくれたんでよ?明日は地震かも!世界が滅びる?でも今だったら死んでもいいーvv」
はしゃぎっぷりに苦笑しつつ口をはさんだ。
「それは困るな。明後日には本が届くしこの夏の間に研究も進めたいし・・・」
「まだあるの?」
呆れた口調のに答えた。
「煩い恋人とデートしなくてはいけないみたいだから」
にこりと笑いかけられては心の底から世界が終わると思ったとその日の日記に記したのだった。
大きく上がる花火が恋人達の会話を彩っていた。
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あとがき:2222Hitキリリク夢です。
『夏祭り』いかがでしたか?
初々しいセブルス少年は非常に書いてて楽しかったです。
一人称僕にするか我輩にするか迷ったのですが結局我輩。
一番鈍かったのはセブルス君でした。
この作品はリクしてくださった坂下美咲さんのみお持ち帰りできます。