英国の夏は日本より過ごしやすい。

涼しい風に吹かれながらカラッとした空気を吸い込んだ。

カレンダーを見ればチカチカと点滅するマーク。

数字が表されていて数は7。

これは先生が篭った日をカウントしてる。

最初は遊び半分だったのだけど。

「御飯食べてすぐだもんなー」

買い物は近くのおばさんが売りに来る野菜と卵以外。

大抵魔法界のお店に行くので送ってもらえるのが便利。

学校の外で魔法を使えない生徒の身としては。

そろそろ御飯の用意をしようと階段を降りると見慣れないフクロウが家の中へ入っていた。

「先生にかな?ご苦労様・・・」

撫でてやろうと手を伸ばしくちばしからひらりと落ちた手紙の差出人を見てわたわたと研究に使ってる一階の一室をノックする。

「先生、先生、先生ー!!!」

あーけーてーと叫べばギィィと扉が開かれた。

「なんだ?」

不機嫌そうな表情をもろともせずに手紙を渡すと耳をガードした。

『やあ!!!

元気かい、セブルス。君のことだから夏中研究付けになるのではと思ってね。

これも娘思いの親だから言うがね、君がそんなんじゃは他の男に惚れてお前みたいな男はポイだ!!!

生ゴミよりあっさり捨てられるぞ。粗大ゴミよりも悩まれない事は確実だ。金がかからないしな。

必要とされる包容力も握力も体力もないだろう!!そこでこれだ!!ジャジャ〜ン!!マジカルブレード!!

これをこう・・・フンフンフンっ・・・

振れば握力も包容力も精神力も体力もつくこと間違いなしだ。手を出すのを我慢できるぞ!!!

これは僕が間違って・・・いやいや、とにかく君に進呈しよう。

(延々と健康器具の説明が続く)

* * * * * * * * * * *

・・・そうだ、忘れるトコだった。

この夏中に日本へいって欲しい。

の荷物とかがまだ日本にあるから出来れば全て英国に移して置いてくれ。

夏過ぎには何か届く事になっているらしいからそれも悪徳商法とは思わず受け取ってくれ。

あと同封しているのは日本への飛行機のチケットの他に某鼠園のチケットだ。

本当は僕が連れてってあげたかったんだけどここは若い二人でと言うだろう?

ああ、セブルスは僕と同じ歳だけどね。

できればセブルスとが鼠の耳付けている写真とかホーンテッド・マンションに住んでる

血みどろ男爵の従兄弟とのスリーショット楽しみにしてるよ。

ではこの記録は三分後に爆発するから・・・・検討を祈る!!!』

ボンっと派手な音を立てて粉砕された。

ひらひら落ちてきた紙を見れば航空券で。

耳を覆っていた手でしっかりと拾い上げた。

「先生!!明日の日付になってるんですけど!!」

ギリギリギリ

歯が擦り切れるかと思うくらい盛大な歯軋りをしてスネイプは背を向けた。

「用意をしておけ」

その言葉にはーいと返事をしつつ「歳なんだから歯は大事にしないと・・・」という言葉は辛うじての心の中に収められたのだった。






















空港は人でごった返してた。

「ここからどういけばいいのだ?」

カートを押しながら聞くスネイプ先生にちょっと待ってくださいと看板を見る。

「あっちから電車に乗ります」

「電車か・・・暖炉はないのかね?」

気持ちはとてもわかるんですけど。

「この時期に暖炉ある所は探すほうが大変です。こっちの魔法界なんて聞いた事ありませんし」

黒ずくめの格好はやはり奇異な視線で見られやすいものらしい。

ジロジロ見られて視線が痛い。

「先生、洋服買いません?」

空港に隣接してるブランドショップでワイシャツとパンツだけ購入。

ついでにゴムで髪を縛って・・・。

「これでまだマシです」

正面から見た瞬間言葉が出なかった。

「そうか?まだ見られてる気がするが・・・」

「それは・・・まあ・・・気にしないで行きましょう!!」

赤くなったのが自分でもわかった。

今更スネイプ先生のカッコよさに気付いてどうするよ、自分。

ホグワーツの皆に見せたい〜とカメラで一枚パシャリと取った。

ガタンゴトンと規則正しく揺れる列車にはっと目覚める。

隣の人にもたれかかって熟睡してた!!

頭をおこして顔を見れば本から視線を上げるスネイプ先生。

「もう少しでつく・・・よく寝ていたな」

涎をつけられるかと心配したという先生はいつもの様子で。

車掌の間延びした声が到着地を告げる。

「降りるぞ」

「あ、待ってくださいよ〜」

降り立った地は空港よりも日本の空気だった。



















「上がらせてもらう」

「どうぞ」

ぱたぱたとキッチンへ行っても誰も住んでいない家では飲み物は皆無だ。

冷蔵庫はコンセントから切られていて今晩のおかずをどうしようかと考える。

「早く荷造りしろ」

茶などいらないと言われて自分の部屋でダンボールに荷物をつめる。

漫画とパソコンとアルバムと・・・・。

結局ダンボール十箱くらいあったのを何度かより分けて七箱までにした。

「ではこれを送ればいいのだな」

杖をスネイプが一振りするとダンボールがすぅっと消えた。

なんでも近くの運送会社に送ったという。

フクロウ便には無理だろうしな。

「では行くかね」

そういわれて背を向けられた。

はい?

どこへ?と聞く前に心を読んだかのように答えが返る。

「これから泊まる場所だ」

ここに泊まるんじゃなかったんですかという前にすたすたと歩き出したスネイプ先生の背中に仕方なくついていった。