「ここか」

「はい・・・・あははははー」

いきなり笑い出した少女に周りにいた人たちは注目している。

「ねえ、あのお姉ちゃんなんで笑ってるの?」

「見ちゃいけません!!」

なんて会話が聞こえてきた。

だってですよ!?

あ・の、スネイプ先生が舞浜の鼠園来てたらホグワーツ生は笑うって。

血みどろ男爵だって笑うかもしれない。

チケットをゴソゴソと懐から取り出した。

荷物は先に鼠園のホテルに送ってるから身一つで遊び放題。

カメラもちゃーんと準備オッケイ。

「いらっしゃいませ。本日は鼠園にお越しいただきまして・・・・・」

お姉さんがアナウンスしてる。

迷子にならないようにしなきゃな〜。

「先生、迷子になったら偽名使いましょう!!」

「・・・・偽名だと!?」

だって恥ずかしいじゃないですか〜と笑うが続けた。

「だから名前は先生がジャイアンで私が静香ちゃんってことで」

ジャイアンはあだ名だろと周りにいてこの会話を聞いてた日本人は心の中で皆ツッコミ。

しかも片方ジャイアンならもう一方はスネ夫かジャイコだろう!!!

しかし重要な人物は日本のアニメ事情など知るはずもなく。

「では静香で呼べばいいのだな」

あっさりとジャイアン襲名。

周りの人たちがめっちゃツッコミ心を擽られてるのにも気がつかず二人はまずは王道シンデレラ城へ足を運んだ。














「面白かったですね〜〜〜vv」

満足げなに些かぐったりしているスネイプ。

「先生、出てきた悪役より怖がられたからって気にすること無いですよ」

そう。何組か一緒に回った家族連れのお子様達にマジ泣きされて煩さでキレそうになったのだ。

もしかしたら少しは傷ついたのかもしれない。

「次は何処に行くのだ?」

出来るだけ並ばない所がいいのだがというスネイプに

そんな所この鼠園にはほとんど存在しないんですと言い切って。

「じゃあまずココに行ってからホーンテッドマンションで!!」

指差した先にはイッツ・ア・スモールワールド。

ここでは面白い光景が見れると思うのよね。

「な・・・なんだココは!?」

目の前で繰り広げられる人形の歌に絶句するスネイプ先生をパシャリと激写。

ああ、いい絵が撮れたわ。

これってフレッド・ジョージに見せたら面白いだろうな〜。

苦行のような表情でスネイプ先生は隣で黙り込んでしまった。

・・・・・・からかい過ぎたかな?

ほんの少しだけ反省して違うアトラクションへと向かう。

「ほら、あのフック船長先生並に怪しいですよっ!!」

「プーが!プーぅぅぅ!!」

「ぎゃああああ」

思いっきり楽しんだ。

「・・・・・もう満足ではないかね」

スペースマウンテン二回連続は流石にきつかったらしい。

結構並ぶ時間少なかったしなあ。

「じゃあ行きますか」

向かった先はホーンテッドマンション。

其処にはホグワーツの幽霊の親戚がいるという。

確かに999人もいれば1人くらい本物でもわからないだろう。

いつもよりも数段顔色の悪いスネイプ先生を引き連れて向かった。

きっと幽霊よりもホグワーツ生には怖い光景だろうと思い笑いながら。












入り口から入ればギィィと演出過剰で扉が開いた。

「先生、血みどろ男爵の従姉妹だかハトコだかの名前ってわかります?」

ぼそぼそと会話しつつ足を進める。

こんな映像の幽霊達はホグワーツに比べたらとっても上品で大好きだ。

「我輩が知るわけなかろう。向こうから来るのではないか」

その言葉を全然信じたわけじゃなかったのに確かにソレは向こうからやって来た。

「・・・・・・従兄弟の匂いがするvv」

べたりと張り付かれてます。

・・・・・・・・先生が。

「なっ・・・なんだ」

「えっと貴方が男爵のご親戚?」

べたべたと先生に纏わり憑いてる青年に話しかけた。

顔色は悪いけど結構カッコいい幽霊だ。

「僕はリューイ。よろしくお嬢さん」

にこりと笑われて笑い返すとデロリと目が落ちた。

「あはは。ごめんね、此処に来て随分経つけど夏はよく溶けるんだよ」

「・・・・・・・・・っ!!」

ギャーとかいって逃げたかったけど我慢した。

あれは目玉親父、あれは目玉親父。

コイツの名前は洋製鬼太郎だッ!!

スネイプ先生の腕を掴んで心を落ち着ける。

ローブがあったら中に隠れてたかもと思う程驚いてしまったよ。

「じゃあ、鬼太・・・じゃないリューイさん。写真一緒にいいかな」

はい、チーズと記念に一枚撮ってこれ男爵に渡すからと別れた。

後ろには人の気配したし。

きっと次の客がついたのだ。

「じゃあ出ますか」

そういえば先に歩き始めたスネイプ先生。

ぐいと手が引かれて。

「あれ?」

手を繋がれている状況。

中が薄暗くてよかったと赤くなったであろう顔を隠せた事に安堵した。