「先生ーーっ」
バターン
扉を壊しそうな勢いで飛び込んできた少女の勢いにスネイプは毎度の事ながら溜息を吐いた。
「廊下を走るな、扉を蹴るな」
「スネイプ先生だって蹴っているでしょ!?」
ズルイ!と少女に言われてスネイプは黙り込んだ。
狡いという言葉が正確でなくともスネイプが扉を蹴った事は確かにあったことなので。
「大体私がこんなにスネイプ先生に会いたくて急いで廊下を走って来たのに開口一番『廊下を走るな』ってどういうことですか!?」
愛がないよ!愛が!!
大声で嘆く恋人にスネイプは苛々しつつも宥めた。
「我輩が悪かったから・・・少し黙って・・」
「そう思うなら『会いたかったよ、ハニーvv』くらい言ってからにしてください」
黙ってくれという言葉を遮って告げられた言葉に目を剥く。
「なっ・・・・」
我輩はそんなことが言えるタイプの人間ではない!と大声で宣言したかったがうるうると期待の眼差しで見つめられる。
きっとスネイプ先生は愛の力(←重要)できっと言ってくれるに違いない。
きっと!!
てか言えよ、オイ!
の目がスネイプを暗に脅迫していた。
「・・・・・・くっ・・会いたかったぞ、」
「いやん、先生ったら」
ばしばしと肩を叩かれて左腕が痛む。
「痛っ・・・もう少し落ち着けないのかね」
「何、先生ったら関節痛?お年ですもんねー?あ、私が喜んで全身撫でて差し上げますよ☆」
嬉々として釦に手をかけるに慌てるスネイプ。
「待てっ・・・・おいっ・・・」
ぷちぷちぷち
手際よく三つまで首元を開けての唇がスネイプの肌へと寄せられる。
ちゅー
ぺろりと最後に舐め上げては笑った。
「えへへー。痕付けちゃった」
キスマークを見て満足げに笑う少女を愛しいと思ってしまう時点できっと自分は負けているのだとスネイプは思う。
「もう少しで終わる。終わるまで其処で本でも読んでいたまえ」
魔法で出されたのはのお気に入りのクッションと紅茶。
「これ食べたかった新作だ!」
お茶請けに用意されていたのはが食べたいと呟いていた新作のお菓子。
「先生ありがとう」
嬉しいと早速ソファーに座ってクッションを抱え込み手を伸ばす。
ぱくっ
「・・・・・・美味しいっ!」
にっこり上機嫌に笑うその様にスネイプの頬も思わず緩んだ。
「先生とずーっと一緒にいられたらいいね」
仕事を終えたスネイプの膝の上に座ってスネイプの髪を指に弄びながらは言った。
「我輩はそのつもりだが?」
頬にキスを落とせばうっすらと血が上りピンク色に染まるのを見るのがとても楽しい。
「今日は泊まって行くのだろう?」
耳元で囁けばこくりと頷く。
「大人しいな」
「だって恥ずかしいもん」
スネイプに抱え上げられて寝室へと連れて行かれながらはそっと囁いた。
「先生しかこんな私を知らないんだからね」
スネイプは光栄だなと囁き返して愛しい少女をそっと寝台へと降ろしたのである。