寝台がもぞもぞと動いている。

時間はもう日付が変わろうとしている時刻だった。

夜の闇は部屋を満たしている。

そんな時扉から一筋の光が差し込んだ。
















「まだ眠ってなかったのか?」

呆れたような声に怒りなどの負の感情は見えずただ柔らかな困惑といった色が含まれている。

その声を耳にして寝台の脹らみはがばりという表現が最も似合う様子でシーツが捲れあがった。

現れたのは小さな子ども。

まだ眠りの精は彼女に訪れてはくれてないようだ。

「ぱぱっ!!」

くしゃくしゃになった髪もそのままに胸の中へ飛び込んでくる姿は妻となった人に何処か似ていていとおしさが募る。

「あら、まだ眠ってなかったの?」

顔を覗かせた少女の母でありスネイプの妻でもある女性は驚くというよりは感心したとでもいう様子の声。

「だってパパが帰ってきたらおかえりなさいっていいたかったんだもん!」

口を尖らせて頬を嬉しさからか赤く染める娘の姿にスネイプは口元を緩めた。

おかえりなさいとぎゅっと回された腕。

小さな身体の暖かさは子ども特有の少し高い体温。

抱きしめ返して囁くように返事した。

、ただいま」

くしゃりと頭を撫でれば嬉しそうに満面の笑みを浮かべる娘の姿に妻はくすりと笑みをこぼした。

「暫く眠れそうにないわね。今日は特別にもう少しだけ起きてていいわ」

「ほんと!?ママだいすきー!!」

ぴょんぴょんと飛び跳ねる娘に妻ははいはいと苦笑を浮かべている。

「ねえ、パパ!ホグワーツのおしろのおはなしいっぱいしてね」

「ああ」

何処かに脱ぎ捨てただろうスリッパが見つからずの小さな身体をふわりと抱き上げた。

「ただいま」

スネイプはもう一度そう言うと妻と娘にしか見せない笑みを浮かべて最愛の女性達にキスをしたのだった。





















食事を一人で食べて話をしていたのだが船を漕ぎ出したを見てそろそろだなと口を開く。

「ホグワーツの話はおしまいだ。そろそろ寝るんだ」

「うー・・・はい、ぱぱぁ」

語尾が睡魔によって掠れてる。

だっこと甘えるように差し出された腕に今日だけだぞと抱き上げて子ども部屋に向かう。

「本当にセブルスったらには甘いんだから」

くすくすと笑う妻の笑い声に全くだなと自覚しつつ静かに子ども部屋の扉を開けた。

ぽすりと柔らかい寝台に身体を下ろしお気に入りの熊のぬいぐるみを横に置いて布団をかけた。

「ぱぱ・・・・あしたもいっしょ・・・・・」

「お休み、

むにゃむにゃと夢の中に入った娘の頭を撫でて部屋を出る。

「明日は休みが取れたから何処かに行くか?」

平日であったがスネイプが休みを取れるのはとても稀なことだったので。

「本当!?じゃあ明日はは幼稚園お休みね!!」

嬉しそうに抱きついてきた妻にそうだなと呟いて笑う。

「そろそろに弟か妹をプレゼントしても良い頃ではないかね?」

「っ・・・!!」

ぱくぱくと口を開く初々しい妻の反応に満足しつつひょいと細い身体を抱き上げた。

「明日はあまり遠出はできなくなるかもな」

そして翌日、宣言どおり近くの公園でピクニックをしているスネイプ家の様子が目撃されたことだけを記述しておく。