「パパぁー」
「セブルス?」
愛しい者達によってスネイプはようやく時間が昼食をとる頃だと気がついた。
「今日ねえママとお絵描きしたのー」
見て見てとテーブルの上に載せようとしている様子はよほどの自信作なのか。
「駄目よ、ご飯が済んでから」
お行儀良くねと苦笑している妻の。
いつもなら素直な娘は生憎機嫌が悪かったようだ。
「ママのけち!パパはの書いたの見たいよねー」
「セブルス、ちゃんと言って頂戴」
両方から反対の意見を言われて仕方なく口を開く。
「書いたのは見たい」
はぱあぁっと華が開いたような笑顔を見せた。
はえっ、と驚いた表情だ。
「だが食事は行儀よく楽しく食べたい。ママにけちなんて言ったら駄目だぞ」
絵は後で見ようなと娘を撫でる。
「うん!ママごめんなさい」
「いいのよ。さあご飯が冷める前に食べちゃいましょうか」
笑顔の戻った二人にスネイプは満足して料理を味わうことを再開した。
「ねえ、セブルス?」
「なんだ?」
寝ようと着替えているスネイプの背中に声がかかった。
幾分落ち込んでるのか溜息まで混じりそうな声に振り向くと淋しそうな表情のの姿。
「どうした?」
近寄って頬に手のひらを当てると甘えたように頬を擦り寄せ手が重ねられる。
「私、今日ちょっと嫉妬しちゃった」
何にだ?とスネイプの先を促す視線を受けて笑った。
「自分の娘に。セブルスがに取られちゃうって思って。馬鹿よね私」
母親失格かも。ふふっと笑う姿にいとおしくてならない。
「我輩とて嫉妬するぞ?」
「誰に?」
「にだ」
スネイプの言葉が意外だったのかびっくりしたのだろう大きな瞳が向けられ少しだけ気恥ずかしくもある。
「は照れ屋だからな、人前でキスどころか抱きつくこともなかなかしてはくれん。にはしているのにな」
「そっ・・・それはっ」
真っ赤になったを抱き寄せる。
額に触れるだけのキス。
「我輩も人前でするのは苦手だがたまには見せびらかしたいと思うのだがね」
自分の娘に妬く程度にはと付け足されわたわたと腕から逃げ出そうとする妻を抱き締める。
「嫉妬焼きの我輩の妻はどうしてこうも我輩を煽るのが上手いのかね?」
「なっ・・・ひゃあっ・・・」
の首筋に赤く華が咲く。
スネイプは楽しそうに笑った。
「娘を愛するのはとの子だからだ」
愛してる
スネイプはそう囁いて嫉妬焼きな可愛い奥さんを可愛がることに専念したのだった。
翌日。
「あれーママは?」
起きだしたが見たのはテーブルで珈琲を飲むスネイプの姿だけ。
「いつも頑張っているからにも今日くらいは寝坊させてあげような」
の寝坊の原因が自分が頑張ったせいとは決して言わないスネイプ。
はふうん?といつもと違うのだなと理解してそれから質問した。
「パパはーわたしとママどっちが好き?」
キラキラと向けられてる眼差しにそうだなと笑う。
「お前を、を愛してるのはなお前がと我輩の大事な子供だからだ」
わかるか?
子供だからと言って誰の子でも良いわけではない、いやよくない。
愛する者との、との子だからこうも愛しい。
「パパとママはラブラブだねー」
娘は嬉しそうに笑った。
自分が一番がいいと言うだろうかと思っていたスネイプはほっとした。
「ママもね、パパが一番なんだって」
お絵描きの時に言ってたのと内緒話をするように小さな声で囁かれた。
「お前は我輩とママどちらがいい?」
「両方大好きだよー」
無垢な笑顔につられてそうかと笑った。
「後でママとお昼寝しようか」
「パパも!」
きゅっと服を握られていいぞと笑った。
暫くしてスネイプ家の主寝室には三人の寝息が幸せな空間をかすかに揺らしていたのだった。