切腹・・・って自殺、ですよね?




















「・・・というわけです」

一通り説明してこくんと自分の入れたお茶を飲む。

社長さんの命令だったことも全て話したのだが。









沈黙。









「あの・・・・・・」

怒ってますか?と聞こうとしたら視界の端に物騒な、というか物騒過ぎるモノがあった。

ギラリと光る銀の輝き。

それは本物の証で。

手打ちにされてしまうのか、私は!!

と慌ててしまう。

「ごめんなさいっ!命だけは・・・」

「悪かった」

「へ?」

お許しをと続ける言葉を遮って聞こえた言葉に呆然とした。

そんなの耳にとんでもない言葉が飛び込んでくる。

「婦女子の柔肌、しかも嫁入り前を見たとあっては謝罪の言葉を幾ら重ねても無意味」

潔く腹を割いて詫びる。

ギラン

凶暴な光がまたライトの光を反射した。

「あ、刺すのは私じゃなかったんだ・・・お手打ちなら普通長刀だしね。・・・って待ってくださいっ!!」

止めなきゃと我に返って振り上げられた凶器である小刀を持つ手首を握り締めて止めた。

冷静になれ、奈良崎さんと私!!

切腹って殺人というか自殺・・・よね?

でも目の前で死のうとしてるの止めなきゃ一種の殺人幇助罪になるんじゃない?

それより奈良崎さんが死んだら私、クビだ!

こんなことを考えている辺りちっとも全然冷静になんてなれてないのだが本人はそれどころではない。

「止めてくださいよー血が出ますってー痛いですよー」

「痛いのは止むを得ないだろう」

婦女子の柔肌をと言って頬を染められては此方が照れる。

「私が許しますから!見られた私が言うんですから気にしないでお腹切るの止めてください。お願いですからぁ」

泣きの入ったの言葉に振り上げられたまま止まっていた凶器はゆっくりと下ろされ離された。

は慌ててその凶器を近くのクローゼットに仕舞い込んだ。

まだ混乱でもしているのかと思えばそうでもなく。

「良いですか、あの中には私の・・・その・・・下着とか、入れてますからっ」

「・・・絶対に開けないと約束する」

安全な場所に置いてほっとするが下着は別の場所に隠そうとが思ったのは此処だけの話だ。

「本当に見るつもりはなかった。だが不可抗力とはいえ、すまない」

「う・・・わかってます。だからその何度も見た見たっていうの言わないで貰えると助かりマス」

両者共に顔が赤い。























「これがあった」

暫く二人して俯いて座っていたらぽむと手を叩いて奈良崎さんが声をあげた。

「はい?」

あ、顔が熱いと顔を隠していたが見上げれば瞳を子供みたいにキラキラ輝かせた譲さんがいた。

そして今まで以上のとんでもない爆弾発言を投下した。

「嫁にすればいい」

「はいッ!?」

声がひっくり返ったのも

腰が抜けてしまったのも

びっくりして声が出なくて

反撃すら出来なかったとしても

「・・・・・・・これは仕方の無い事じゃないですかね?」

と後に少女は知人に語ったのだった。