「・・・。それはまさか・・・」
シリウスは愛しの彼女が持っている物を見て幾分青ざめて言った。
「そう!冬季限定の生ショコラバナナプリン♪この甘さがッ・・・・美味しいのよね」
一口ずつ口に運ぶが合間にうーっとか美味し〜っと声に出すのは感情豊かな彼女ならではだろう。
じぃっと見つめているシリウスには尋ねてみる。
「シリウス欲しいの?はい、あーん」
照れもなく差し出されるスプーンに戸惑うシリウス。
しかし甘い・・・甘すぎる罠だった。
『パクリ』
途端に広がる甘さに嫌そうな表情をしたシリウスにそんなに甘いかなあ、などと言いつつ食べる。
なんだか自分ばかり彼女に振り回されているようで悔しかった。
「もう一口貰ってもいいか」
「いいよ」
差し出されたスプーンに見向きもせずに
「そっちじゃない」
ちゅっ
・・・・・ポトリ。
「〜〜〜〜〜。私の生ショコラバナナプリンが落ちた〜〜っ」
ううっと涙ぐんでいるを見て心なしか肩を落とす。
シリウスにとっては一大決心なキスだったわけで。
この甘いもの大好きな彼女にとってはそれよりプリンの方が大事だったらしい。
「シリウスの嘘つきっ。甘いの苦手だって言ってたのに・・」
今にも泣きそうなほど潤んだ瞳にくらっとして
「は甘くても好きなんだけどな」
と呟いた。
今度こそ真っ赤になったに満足したシリウスだった。
その冬、が生ショコラバナナプリンを買うことはなかった。
シリウスが買っていたからというのがその理由である。