夜の地下室は凄く怖い。
でもその先にいる人を求めて歩いてく。
小さな影は怯えながらもその足で目的地へ向かっていった。
「先生?」
聞こえるはずのない声が聞こえた。
幻聴が聞こえるとは無理をしすぎたかとかけていた眼鏡を外した。
こめかみを指で押さえる。
ふうと息をついた時もう一度、幻聴と思われた声が聞こえた。
ガタン
椅子から立ち上がり扉に向かう。
鍵を開けて開けばそこにはいるはずのない少女の姿。
「・・・。もう消灯時間はとうに過ぎたと思うが」
どうしたと聞けばするりと部屋に入ってきた。
「先生に会いにきました」
にこっと笑うは酷く無防備だ。
「グリフィンドールの生徒は規則も守れないのかね」
苦々しそうにいう台詞とは裏腹に声色は酷く甘い。
「明日はお休みでしょう?」
机の上の重ねられた本を見てこれから夜更かしするんですかと尋ねる。
「ああ。探していた本が手に入ったのでな」
ぶ厚い本を嬉しそうに見たスネイプには女心なんていうものは理解できないのかと少女は腹立たしく思う。
なんで自分がこんな夜中に地下室まで来たのかって理由を察して欲しいと思うのは我儘だろうか。
くるりと入ってきた扉のノブに手をかけた。
「お邪魔しました。スネイプ教授は大事な本と夜更かしでもなさって下さい。私は退散しますから」
出て行こうとしたら腕を掴まれる。
「何ですか?」
は不機嫌に聞き返した。
仕方がない事だといえよう。
なんたって恋人が自分より本を選んでわざわざ地下室へ真夜中の廊下を忍んで来たのをもう一度通らなくてはならないのだ。
帰るならさっさと帰りたい。
そう本には勝てない。
いくら可愛い恋人でも。
研究命なこの嫌味で贔屓で大好きな魔法薬学教授は。
恋人である私の事だって可愛いと思っているかどうか疑わしい。
そう思って欲しいとは思うのだけど。
先生は暫くの沈黙の後口を開いた。
「我輩は両手に花と行きたいのだが」
「それは私にいて欲しいって事ですよね?」
本と同レベルっていうのは悔しいけど。
花って言ってくれたしね。
「仕方ないからいてあげます」
先生のベットに潜り込んで左腕にしがみつく。
「こっちは私のですから本は右手で読んでください」
すぐに眠りについたの髪を撫でながら雑誌を読むことが日常と化すようになる。
スネイプが満足げに笑う姿を見ることをは知らず夢の中微笑んでいた。