ホグワーツには悪戯する挑戦者にとって三大鉄壁があった。
一つは図書館の禁書
一つは組み分け帽子
最後の一つはダンブルドアよりも難敵として掲げられている人物。
地下室にいる某魔法薬学教授のことである。
その日は朝から何かいつもとは違うと感じていた。
生徒は近寄ろうとしないし(いつものことだが)教師陣は困ったような悩んでいるような表情。
ダンブルドアだけはにこにこと笑顔だったがすれ違うたびに何か囁かれていて可笑しいと思うのだが原因が掴めない。
仕方なく自室に籠もるかと人気のない廊下を選んで地下室にむかっていれば声が聞こえた。
「さすがだよなー俺達も無理だぜ」
「わが姫はすばらしいよな、兄弟」
声だけでグリフィンドールの双子だとわかる。
そして彼らに姫と呼ばれる人物は一人しかいないのも知っていた。
「だってそんなの注意しなきゃ!大変でしょう」
思った通り双子ウィーズリーズといるのはスネイプのよく知る少女だった。
何を話しているのかと立ち止まり聞いてしまうのは悪戯の対象になっているせいだからと自分にいい聞かせる。
「でも本当にそんな人がいるなんて知らなかったわ。まさかあのスネイプ先生が・・・」
我輩だと!?
出てきた名前に驚いて近寄った。
「我輩が何だというのかね」
出たーとばかりに素早く姿を消した騎士二人にとり残された少女はびくりと身体を強ばらせた。
「い、いえ何も」
そろそろと距離をあけようとするのを一歩で近寄り腕を掴んだ。
「我輩が何だと・・・」
「イヤー!!妊娠しちゃうー!」
「なっ!」
いきなり叫ばれた内容に驚いて手を離した。
その隙に少女は駆け出している。
「ま、待てっ」
ドタバタと追い掛けるがよほど必死なのか追い付けない。
少女は階段を上って廊下の脇の扉を開けて叫んだ。
「スネイプ先生に妊娠させられましたー(泣)」
「なんですってえ!」
少女の声もマダム・ポンフリーの絶叫もホグワーツ中に広まったに違いないとクラリと目眩を覚えながら膝を廊下についた。
数時間後、誤解は解けローブに貼られていた『危険☆触ったら妊娠します』の紙も無事に除かれたのだが
「男も妊娠しちゃうらしいぜ」
とんでもない噂が消えるのに暫くかかり散々な目にあったのだった。
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久々に本格的?ギャグです。原点は此処だなと思えるほど楽しいですね。
ヒロインは双子に「スネイプに触られたら妊娠しちゃうんだぜ」と騙されてます。
で、「そんな危険人物野放しはできないじゃない」と紙をぺたりと貼ったんですよ。
誰もツッコめなかったのはあのお色気ですから「ありえるかも」と思ったってことで(笑)
廊下に崩れ落ちる先生を書けて満足です。
楽しんで頂けたなら幸いです。