無意識に辺りを見回す。
誰もいない。
この星に流れついて息苦しさを感じていた。
酸素が足りないとかいう理由でなく他人といることが息苦しくてたまらない。
皆が悪い子でないのはわかってる。
あの父親至上主義のハワードだっても鼻には付くが無視ができないわけじゃない。
ただ一定距離を越えて踏み込まれるのが苦手だ。
メンバーの中で唯一わかってくれるのがカオルだった。
今も食料探しと言って連れ出してくれた。
カオル一人の方が絶対成果が高いのに。
「カオルありがとう。気を使ってくれて」
「・・・お前のためだけじゃない」
言われた言葉の意味もわからず聞きかえそうにも草むらを掻き分けていく姿に黙ってついていったのだった。
「はそっちの実を採っておいてくれ」
カオルの指先にはたわわになった果物。
見た目はキウイに良く似ている。
食べれるかはどうかなんてわからないけれどルナのペットロボットのチャコに調べて貰おうという事になった。
結構大きいリュックに入れれるだけ詰めようとしたらカオルの声。
「」
呼ばれた方へ足を運べば色鮮やかな実をならせた木。
毒々しい見た目は危険信号に見える。
「これは・・・。さすがに食べられないんじゃない?」
「わからない。でも一種類持って帰るよりは二種類を持って帰ってどちらか食べられればいい」
そう言って実を幾つか拾いあげた。
「カオルって凄いね」
思わず零れた言葉。
「・・・・・なんのことだ」
怪訝そうに見つめられて慌てる。
「ううん、自分にできることを見つけれて実行できてる。・・・・カッコいいね」
普通こんな無人の惑星に子供が遭難したら泣くしかできないはずだ。
大人でもうろたえてしまうはず。
今回は人数が多かったことが幸いして生き延びるために必要なことをサバイバルをするだけの気力が残った。
ルナやメノリは凄いと思う。
それ以上に目の前の少年が凄いと思った。
それに引き換え自分は・・・・。
「俺よりの方が凄い」
すっと差し出される手。
握られた手のひらが熱い。
「俺は別に他のヤツのためなんて考えてない。お前がいるから俺は・・・・。だからそんな顔するな」
繋いでない左手がそっと頬を撫でてく。
いつになく饒舌なカオルに少しだけ驚く。
「ありがと。優しいんだね」
涙で滲んだ視界には少しだけ照れたような顔のカオルがいた。
「ー!カオルー!?」
遠くからルナの声がする。
遅くなったから心配して探しに来たのだろうか。
ゆっくりと離した温もり。
でも心の中はじんわりと温かい。
カオルの側なら空気が軽く思えた。
「私頑張るね」
そう言ってルナー!!と駆け出した少女の後ろを眩しそうに見つめるカオルの姿があったことを彼女は知らない。
その後急激に他のメンバーと打ち解けた少女に対して焦る少年がいたことはまだ誰も知らない秘密である。