「なあ、女子の中で好きな奴いるか?」

きっかけはハワードの一言だった。

「ハワードはいるのかい?」

ベルは意外という風に聞く。

「ベルはルナだよね。シャアラのこと好きかと思ってたけど」

とシンゴ。

鋭いと向けられた視線にへへと得意げだ。

「カオルは?」

「ハワードはどうなんだ?」

聞き返して煙に巻いた。

卑怯だとわかっているがそうすれば奴は照れて話が流れると期待して。

「お・・俺はべつに・・・っ」

案の上話は上手くはぐらかせたけれど一人の少女の笑顔が浮かんでしまったことに気づかざるを得なかった。

























「カオルー!私も魚釣りに行くわ」

「・・・ああ」

の顔がまともに顔が見れない。

救いは自分が無口で感情表現が下手だと皆が知っているから変だと気づかれないことくらいだ。

「ねえ、カオルって私のこと嫌い?」

バシャン

手元が狂ってしまった。

「どうしてそんなことを?」

「私の方を見ないから」

鋭さに驚く。

「嫌いなら嫌いって行ってくれたほうがいいよ」

その声の悲しそうな色に慌てる。

「嫌いじゃない!」

言ってしまってしまったと思った。

今のじゃ好きだと告白したようなものだ。

「え・・・そうなの。よかったー」

「あ・・・ああ」

鈍感な彼女は気づかなかった様子でほっとしつつ何処か残念な気もする。

「じゃあまた一緒に魚採りに来ようね」

「ああ」

そう約束して。

まだ時間がたっぷりあると思ったカオルだが鈍感な彼女と結ばれるまでにコロニーに帰り着くなどまだまだ彼は知らないことである。