『嫌いだ』
そう告げた声がとても心に痛かった
共に在る者
あの言葉を言ってから彼女は近寄らなくなった。
そう彼ははっきりと自分の想いを告げたのだから当たり前である。
しかしいつもいたはずの少女がいない事に戸惑っているばかりではなく、
いなくなってからこの方一瞬たりとも彼女の涙が零れ落ちそうな健気な微笑みと走り去る背中と揺れるリボンが離れない。
とても大事なもの。
そう誇りとか名誉とか。
そんなかけがえのない彼を構成していたはずのもの。彼女はそうではなかったはずだ。
「あんな小娘ごときで集中力をなくすとは・・・」
呟いてみて自問する。
『本当に彼女は小娘ごときなのか』と。
答えは否。
彼女は彼女の存在は。
「こんなにも我輩が鈍いとはな・・」
誇りとか名誉とか。
そんなものを軽々と飛び越えていた。
自分の生きていくための絶対条件。
空気とか太陽とか当たり前でいてなくてはならない。
気づく必要がなかったもの。
「これは・・・会いに行くべきだろうな」
地下室を出て彼女がいるだろう場所へと向かう。
自分の間違いを認め、彼女を再び手に入れなくてはならない。
歩く速度が自分がいかに彼女に会いたいかを語り、こわばった表情が自分の不安を表す。
この後「彼がいかにして彼女を捕まえたか」はホグワーツの歴史に載ることはないだろう。