かのイタリアンマフィアのボンゴレ10代目として綱吉が妙な家庭教師を得てから少しした頃のことだった。

「綱吉ー!今日ちゃんが来るわよー!!」

「えっ・・・どういうこと!?」

「なんだかわからないけど義兄さんが海外転勤になったらしいの」

「綱吉、従姉妹とはのことか」

リボーンの言葉にツナはうんと頷いた。

「ま、まさか・・・姉ちゃんもファミリーにとか・・・思ってないよね?」

「従姉妹なら十分資格はありそうだが・・・・ま、本人を見てからだな」

そんな会話がされていたことは本人は全く知りもしないことだった。















時期外れの転校生が現れ嵐を呼んでくる。














「えっとここを曲がって真っ直ぐで並盛中かあ」

てくてくと歩いているがその制服は近辺では見ないセーラー服だった。

なんだか目立っているなあ、やっぱり制服が間に合わなかったのが痛かったなーと考えているのだがそれは見当違いというものだった。

「ちょっと、其処の君。並盛中の制服じゃないみたいだけど転校生かな?」

校門にやっと辿り着いたは掛けられた声に自分と気付かず通り過ぎそうになった。

「聞いてる?」

「あ、私?えと・・・あ、職員室何処かな?」

「人の話を聞きなよ。僕は転校生かどうか聞いたんだけど」

は些か気分を害した。

それは目の前の少年が生意気だからというのもあったが大半はお腹が減っていたからだ。

朝食抜きは身体に悪いという家庭方針からそういう身体になってしまったのかもしれない。

「見てわからない?転校生だけど。答えたから私の質問も答えて欲しいんだけど。職員室と・・・学食か購買は何処?」

「増えてるじゃないか。・・・職員室は階段上がって右。購買は後にした方がいいと思うよ」

すたすたと去る姿にカッチーンと来てはそのまま言われた方向へと足取り荒く向かったのだった。

「親の都合により転校して来ました。よろしくお願いします」

ぱらぱらとまばらに起こる拍手に苦笑する。

「じゃあわからない所があれば・・・」

部屋の隅に委員長っぽい男の子がいたからその子か誰かに案内されそうだなとか思っていた時だった。

ガラリ

「今はまだホームルーム・・・風紀委員長!!」

ざわっと教室がざわめいた。

が入ってきた人物を見れば今朝のいけ好かない少年だった。

「げっ!!アンタ同じクラスだったの!?最悪っ!!」

しーん。

思わず零れた心の本音にざわめきがぴたりと止んだ。

心なしか皆の顔が青い気がする。

何故?

「・・・すいませんがこの人のことは風紀が責任を持って指導しますのでお借りしても?」

慇懃無礼な物言いだが先生はコクコクコクと首振り人形と化している。

「え、私は今から購買部・・・」

「いいから来なよ」

さっさと出て行った後姿に残るか付いて行くか迷ったのだがじとっと見られては居残り辛くて渋々後を追いかけたのだった。

後ろを振り向きもしないで歩く少年について歩く。

購買に連れて行ってくれる親切は期待してなかったけれどやっぱりそんなことはなかった。

少年が足を止めて開けた扉には応接室の文字。

「え・・・勝手に入っていいの?」

「さっさと入りなよ」

答えすらくれないことに腹を立てて行儀が悪いけれど強く扉を閉めた。

「で、何の用?」

ソファーに腰掛け優雅に足を組んでいる姿に腹が立って向かいのソファーに腰を下ろした。

座れとか勧められもしなかったけど構わないだろう。

。某進学校の上位常連、転入試験は軒並みほぼ満点。親の職業事情にて親類の家へ・・・これまではいいね?」

「何処からそんな情報?大体今は個人情報保護法が施行されてるのに」

呆れ半分、感心半分だ。

「僕はまあ信頼されてるみたいだからね」

「胡散臭いのに。見る目がないわね」

ああ、誰か口は災いの元とか言ってなかっただろうか。

これからは思っても素直に口にするのは止めようと鋭く少年の目に睨まれて思った。

「まあ転校初日だし生意気な口は許してあげるよ」

でその荷物は何?と言われた。

背負っている荷物がが目立っていた理由の半分である。

半分は彼女の容姿が整っていたせいであるのだが。

「私の大事なもの一式。最近は郵便事故だの物騒だから運べる分は自分で運ぼうかなって」

「ふうん。でも学校に不必要なものは没収なんだけど」

手を伸ばされて振り払う。

「明日からは持って来ないわよ!今日一日くらい別に構わないでしょ!!」

校則すら知らないんだしっと言い逃れればあ、そうと言われた。

「校則第二十条で不必要なものは没収、卒業時に変換最悪の場合焼却処分・・」

「え?十六条じゃ・・・!!」

「やっぱり知ってて持ってきたんだ」

や ら れ た ! !

あっさり乗せられた自分に腹が立つ。

「ていうか自分の名前も名乗ってないじゃない。このカマ掛け男っ!!アンタ誰よ」

名乗らないならカマ男って呼んでやると思ったの心を読んだ訳ではないだろうがあっさりと今度は返事が返ってきた。

「僕は雲雀、雲雀恭弥。この学校の風紀委員長、よろしく

「呼び捨てしないでよ!!」

呼び捨てされてドキッとしたのはこの際無視だ。

中学校の男の子とはもっと可愛いものではなかっただろうか。

「そんなこと言って没収されたい、それ」

指の先には荷物。

ぐうと唸るしかない。

楽しそうな笑い声が聞こえた。

「じゃあ今日はこれで見逃してあげるよ」

ちゅっ

いまの・・・なに?

今気付いたけど物凄い綺麗な顔が凄く近づいて触れた何か。

触れたのは口唇?

「な、ななななにすんの!?雲雀っ!」

「あ、僕は、アンタを気に入ったからいつでも側に行ってやるよ。名前を呼んだらね」

「誰が呼ぶか。この馬鹿!!」

慌てて扉を出て行こうとしたら呼び止められた。

、他の男と仲良くしたら噛み殺すから」

どひゃー!!

頭の中はパニック寸前で。

キスされたとか殺すってしかも噛み殺すって無理だろとか考えていたらチャイムが鳴った。

調度いつの間にか授業が終わって休み時間。

偶然にも発見した一年の教室に飛び込んでこれまた発見した最愛の従兄弟を抱きしめてが愚痴り倒した事は

翌日には全校生徒が知る出来事となったのだった。