その日はツナ達と花見をすることになってたのだけど。

「なんでこんなことに・・・」

Dr.シャマルを恨んでしまったのだった。





























「今日はお花見かあ」

楽しみ~とウキウキしつつ場所に向かう。

朝早くに用事があったために他のメンバーとは別行動だったのだ。

基本的に季節柄のイベントは大好きだ。

日本って四季に溢れていい国だよねといつも思ってしまうのだ。

無宗教な所も色々な祭りが楽しめるし。

「昨日作ったお菓子ビアンキさんに渡さずに済んでよかったかも」

美人なビアンキは大好きだが折角作ったお菓子が毒にされるのは勘弁だ。

足取りも軽く少し早かったかなと花見会場予定の並森中央公園に向かったのだった。

















「えと・・・平穏な休日の真っ昼間から何をしてるんですか?」

キミタチハとカタコトになってしまうのも仕方ない。

目の前ではなんでかバトル直前な空気を醸し出してる雲雀とツナ・・・というか獄寺君達。

ユウコ、君だけなら僕と花見をしてもいいよ」

「はぁ・・・」

遠慮したいよと思いつつ場所取りゲームをするという彼らをほっといてリボーンと桜の下に立つ。

「はぁ~花見はいいよなあ。おめーら、かわいこちゃん・・・いるじゃねえか」

「シャマルさん!!」

保健室勤務の女の子大好きドクターの出現にびっくりしてると変な感触がした。

ムギュッと。

「~~~っっっっっぎゃああああああああ!!」

胸をつ、つか、つかつかつかつか、掴まれたぁぁぁぁぁ!!!

人間本当に驚いたときって何も反応できないんだと知る。

「何、ユウコにしてんのさ」

消えろ。

「のへーーーーーっ」

バキっと音がしてシャマル沈没。

涙目で雲雀を見上げればよしよしと頭を撫でられた。

「・・・・・・」

「さて、やろうか」

ユウコは座って待っててよと言われてしまう。

「てめーだけはぶっとばす」

突っ込んできた獄寺君はダイナマイトを放ち雲雀はトンファーで爆風を裂くと笑った。

「続きはないの?」

獄寺に振り下ろされたトンファーが当たる前に山本が間に入る。





















仕込み鉤がトンファーにあるなんて・・・とんでもないなあ。

ぼへーっと見てればツナが死ぬ気で雲雀に向かっていった。

はたきで攻撃ってと呆れたが互角。

「ツナ凄い!!」

攻防戦に見蕩れていたらツナの死ぬ気モードが解除されてしまった。

「・・・雲雀ッ!!」

止めを振り上げた雲雀を止めようと叫んだらへたりと膝を突いて呆然としている。

「な・・・どうしたの?」

「あいつの仕業だぞ」

リボーンの指の先にはのされたDr.シャマルの姿。

「おーいてぇ」

起き上がったシャマルは雲雀にかけた病気を説明している。

「桜に囲まれたら立っていられなくなる『桜クラ病』つってな」

「へ・・・へえ」

またヘンテコな病気もあったもんだなと思いつつフラフラと立ち上がった雲雀を見つめた。

「約束は約束だ。精々桜を楽しむがいいさ」

フラフラと立ち去る後姿に躊躇する。

「ツナさーん」

料理組が到着して一気に賑やかになるがユウコは用事を思い出したからと言って花見を抜けた。

走っていく先は一人で歩き去った後姿。

















公園の端のベンチに座り込んでいる雲雀の姿を見つけた。

間に合ったと近寄れば少しだけ驚いた表情。

「花見はしなくていいのかい?」

「・・・さっきはありがと」

Dr.シャマルから庇ってくれたことにお礼を言えば別にと言われて肩透かしを食う。

「群れる人間が嫌いなだけだよ。でも、そうだな。お礼の変わりに膝枕くらいしてくれない?」

「・・・今日だけなんだからね」

そう言ってやればワォと小さく言われてしまった。

猫みたいに陽だまりで眠る姿にもう少し優しかったら好きになっていたかもしれないなあなんて思ったりして。

結局、作ったお菓子を全部取り上げられてしまったりしたけれど悪くない休日。

「ねえ、僕の名前を呼んだらいつだって側に行ってあげるよ」

「アンタの名前なんて呼ばないから」

ベンチに舞い散る桜が綺麗だと見蕩れたある春の日のこと。